実は科した側にも損失が?「ロシア経済制裁」の本当の効果とは (2/3ページ)

新刊JP

エネルギー分野で言えば、大深海(約150m以深)、北極海(米国制裁)、北極圏(EU制裁)、シェール層における石油探鉱・生産に必要な技術・物資・サービスの輸出禁止が主だが、石油採掘過程では天然ガスも産出されるため、実質的には石油と天然ガスの両方がターゲットとなることもある。

金融分野では、米国、EUともに、ロシアの複数の国営銀行に対して長期の新規与信を禁ずる措置が取られている。これは端的にいえば、ロシアの国営銀行へのドル建・ユーロ建の融資ができないようにしているということだ。

渡航禁止・資産凍結の対象となる個人・法人への制裁は、SDNリストと呼ばれる米国財務省外国資産管理室のリストに載った個人、企業、団体への在米資産凍結、米国への渡航禁止、米国法人との取引禁止などの措置を指す。これはプーチン氏を取り巻くロシアの有力者らの切り崩しを狙った策である。彼らが関わっているビジネスやプロジェクトへの融資が困難になるため、外国企業はロシアでのビジネスに慎重にならざるを得ない。

■欧米の経済制裁がロシア経済に与えた「本当の影響」

ロシアの資源獲得を阻害し、ロシアに外資が集まらないように仕向け、大きなビジネスをやりにくくするという経済制裁だが、効果のほどはどうか。

加藤氏によると、石油開発を基幹産業とするロシアだけにエネルギー分野での制裁のインパクトは中長期的な影響も含めると小さくはないそう。

一方で、金融面の制裁の影響はいささか限定的だ。エネルギー面での制裁は、あくまで石油探鉱に関する技術や物資の輸出禁止であり、ロシア産石油の禁輸ではない。そのため、ロシア国営銀行への融資を制限したとしても、石油輸出の決済がドル建で行われる限り代金としてロシア国営銀行の口座に米ドルが入ってくることになるからである。また、ユーロ建取引については融資禁止措置に抜け穴があり、あまり影響は出ていないという。

SDNリストに載った人物への制裁は、掲載人物が次第に増え厳しいものになりつつあるが、今のところ決定的な影響が出ているとは言い難い。

総じていえば、欧米の制裁が発動した後のロシア経済は良くはないにしろ決定的に悪化もしていないのが実情。

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