世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★移民と国力 (2/3ページ)

週刊実話

本来であれば、国内に有り余る「おカネ」を生産性向上目的の投資に回し、さらに企業が労働分配率を高め、国民の実質賃金が上昇する形で「ヒトを確保」するべきなのだ。

 そもそも、生産性向上で人手不足を埋めることこそが、資本主義の本質なのである。それにも関わらず、人手不足を理由に移民国家化しつつあるのが、現実のわが国だ。いろいろな意味で「狂った国」と表現しうる。

 改めて考えてみると、人口構造の変化により人手不足が深刻化するのは「素晴らしいこと」である。何しろ、労働者にとっては自分を「高く売る」チャンスになる。さらには、経営者が生産性向上の投資を強いられるため、経済成長のエンジンが回り始める。

 企業経営者が生産性向上や実質賃金の引き上げを怠ると、単純に「ヒトを確保できない」ということになり、市場化は排除されてしまう。経営者に「甘え」を許さないのが、人手不足という環境なのである。

 そして、生産性向上こそが、国家を強国化する。日本人の多くは「強国」や「経済強国」と人口が強い関係にあると誤解しているが、歴史はその認識を裏切る。例えば、シーパワーとしてスペインに継ぐ2番目の覇権国となったオランダの人口は、200万人程度にすぎなかった。人口小国で資源の乏しい国土であったオランダは、だからこそ農業、工業、交易、そして金融の生産性を高め、覇権国として世界に君臨したのだ。

 また、イギリスが覇権国となったのは、産業革命により綿布産業をはじめ、各産業で劇的な生産性向上が起きたためである。産業革命により、イギリスの生産性は数百倍に高まり、人口大国であったロシアやフランスを差し置き、第一次グローバリズムの覇権を握った。

 さらに、イギリスの跡を継ぎ、覇権国家に成長したのがアメリカである。18世紀以降のアメリカは、慢性的な人手不足で、西部開拓や工業発展により、移民を受け入れていたにも関わらず、人手不足が続いた。移民という「ヒト」が増えてすら、供給能力不足を解消できなかったからこそ、アメリカでは一気に「機械化」「自動化」「技術発展」が進み、生産性が高まったのだ。

 アメリカの国民1人当たりの工業化水準は、1910年前後にイギリスを抜き去り、世界一に躍り出た。

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