〈企業・経済深層レポート〉 ZOZOがユニクロに宣戦布告 衣料品業界で勃発した機能性肌着バトル (2/2ページ)
だからZOZOも対ユニクロなのでしょう」(業界関係者)
業界関係者に言わせれば、各メーカーが奮闘して差別化をしても、機能性肌着の科学的仕組みはほぼ一致しているのだという。仕組みはこうだ。
「成人は1日に体から600〜800㎖の水蒸気を自然に出します。このときに発生した水蒸気が、肌着の繊維とぶつかるとき熱が生まれます。つまり機能性肌着は、水蒸気が多くぶつかり、さらに水とくっつきやすい繊維を素材に使っているのです。さらに発熱に使った水蒸気も、繊維に留まったままだと水分で冷えてしまう。それを繊維の外側に持っていき逃がしてやる。また、蒸発時に熱を奪うので、その熱を保てるよう肌着に空気の層も作ってやるのです。これが機能性肌着の仕組みです」(業界関係者)
ゆえに、機能性肌着を各社いろいろ工夫して作っているが、中身は似たり寄ったりで、性能に大きな違いはないのだ。現状、消費者個人の好みで商品が選ばれているという。
しかし、「ほかの機能性肌着よりも明らかに暖かい」と話題を呼んでいる商品がある。その商品は、創業65年のワシオ株式会社が展開する衣料ブランド「もちはだ」だ。
「冒険家、植村直己さんが南極に行ったときに履いたのが、このワシオの靴下と話題になりました。ワシオの特徴は、他では真似できない独自の“起毛技術”です。通常の起毛は、生地を織った後に毛羽立たせるのですが、パイルと呼ばれる編目は切れやすく、暖かい空気が逃げやすくなります。それをワシオの機械は、パイルを切らずに毛羽立たせることでほかの機能性肌着と比べて、頭一つ抜けた暖かさを提供できるのです」(衣料業界関係者)
ワシオの機能性肌着は、これまでは宣伝力やコスト面で優位の大手企業の陰に隠れていた。それが最近、釣り動画を投稿する有名ユーチューバーに宣伝を以来したことで、一気に認知度が上がった。
実際に使用した釣人や、建築現場で働く人たちの間でも「寒さ知らず」と高評価。口コミでも話題になり、一挙に拡大して、機能性肌着業界に風穴を開けつつあるという。
この動きに大手衣料メーカーはどう立ち向かうのかは分からない。いずれにしても、機能性肌着の性能は日進月歩で発展している。近い将来、エアコンもストーブも不要の魔法の機能性肌着が生まれるかもしれない。