マインドコントロールできるサイボーグネズミが生み出される(中研究)

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マインドコントロールできるサイボーグネズミが生み出される(中研究)
マインドコントロールできるサイボーグネズミが生み出される(中研究)

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 それは現代がサイバーパンク的デストピアである証左なのか?

 中国の浙江大学の神経科学者たちが、「ブレインーブレイン・インターフェース」という技術によって、ラットの動きを脳波でコントロールすることに成功したという。

・心のイメージで機械に命令を出すBCI

 心でイメージしただけで、機械に命令を出すことができる「ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)」なら少し前から登場していた。

 これは脳波キャップをかぶって、脳内部の神経活動を検出し、その思考が作り出す脳波のパターンを機械に学習させるというやり方だ。

・脳から脳へ。念じるだけで他人の体を動かすことができる情報伝達に成功(米研究) : カラパイア

 学習が済めば、コンピューターは脳に出現したパターンから、それに対応する動作を行うよう機械に指示を出せるようになる。

 BCIが一番うまくいくのは、左に行くか、それとも右に行くかを決めるような、二者択一を思考するようなときだ。

 また人が動きを想像するようなケースも相性がいい。これは頭で運動を想像したときに生じる神経活動が、そうした動きを実際に行う場合のそれとかなり似ているからだ。

 体が麻痺していたり、筋肉に障害がある患者にとって、BCIが大きな希望であるのはこうしたわけである。


ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)

・脳と脳をつなぐブレインーブレイン・インターフェース

 この技術が確立されたことで、経頭蓋磁気刺激(TMS)という方法を応用し、送信者の脳から受信者の脳へ信号を送るインターフェースを開発することが可能になった。

 TMSでは、脳の特定の領域の上にかぶさるよう頭に磁気コイルを取り付け、そこで磁場パルスを発生させて、脳を刺激する。

 たとえば運動皮質の上にTMSコイルを装着すれば、脳を刺激して勝手に体を動かしてしまうといった操作ができる。

 つまり、ブレイン・ブレイン・インターフェース(BBI)で、ある脳と別の脳をつなげば、遠く離れた場所から他人の指先を動かしたりできるということだ。

 これが初めて実証されたのは2015年のことである。

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・人間とラットの脳をつなぐ

 今回の研究で目新しかったのは、人間の脳と動物の脳をつないでしまったという点だ。

 浙江大学の研究チームは、「サイボーグ・ラット」(ちなみに、この名称は実際に研究チームが用いている呼び名だ)を作成するために、人間用の脳波キャップとラット用の極小電極を使って、人間とラットの脳を接続してしまった。

 送信されてくる刺激シグナルを体の運動に関係付けるようラットを訓練してから、ブルートゥース経由で刺激シグナルを送信すると、ラットはその指令に従うようになった。

 実験で、ラットを迷路に入れて、被験者がそのワイヤレス操作を試みたところ、ラットは意図されたとおりに「スムーズにきちんと」迷路の中を通り抜けることに成功した。

 研究チームの次の目標は、コントロールシグナルを双方向に送信し、2人の人間が脳と脳で直接会話を行えるようにすることだという。

 この研究は『Nature』に掲載された。

References:China's Mind-Controlled Rats are Proof We Already Live in a Dystopia | Digital Trends/ written by hiroching / edited by parumo
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