脳は錯視の動きを処理するためフリーズし5ミリ秒の遅れを経験する (1/2ページ)
image credit:Baingio Pinna/Wikimedia Commons
まず上の画像を見てほしい。中心の黒い点を見つめながら、頭をスクリーンに近づけたり遠ざけたりすると、2つの円は反対方向に回転しているように見える。
これは、イタリア・サッサリ大学のベンジオ・ピンナ博士らによるもので、「ピンナ錯視(見かけの回転錯視)」と呼ばれている。
動きを認知させる錯視に関する神経メカニズムを扱った新たなる研究によると、脳はこうしたタイプの錯視の動きを処理するために、15ミリ秒の遅れを経験するということだ。
この一瞬の間、脳はフリーズしてしまっているという。
・錯視で本物の動きがあったときの眼球運動が確認
このことを確かめるために、中国科学院の神経科学者マックス・アンドリーナ氏は、人間とオナガザル科のマカク(人間の脳や視覚系を理解するうえで、一般的なモデル)を対象に実験を行なった。
最初の実験では、人間の被験者9名とマカク2匹の頭を固定した上で、この錯視を見せ、そのときの微細な目の動きを観察した。
その結果、人間とマカクのどちらでも、眼球の衝動性運動(サッカード)が確認された。つまり、目で動きを追っていることが強く示されたのである。

中心を見ながら目を画像に近づけたり遠ざけたりすると回転してみえる頭を前に動かすと周囲のリングが回転して見える
・脳内で生じる15ミリ秒の遅れ
次に、電極でマカクの脳の活動を記録。すると、実際には画像が動いていないにもかかわらず、脳の現実の動きを感じる領域が活発化していることが判明した。
だが興味深いのは、錯視による神経活動の場合、実際の動きを感じて生じるものと比べて、15ミリ秒の遅れがあったことだ。