老人の資産を狙うのは「振り込め詐欺」だけではない 司法書士が明かす悪質な手口の数々 (1/2ページ)
お金を貯めこんでいるというイメージが手伝ってか、お年寄りの財産目当ての犯罪は、警戒を呼び掛けるアナウンスがしきりになされているにもかかわらず後を絶たない。
代表的なものが、年間被害額が400億円近くまで及ぶ「振り込め詐欺」などの特殊詐欺だろう。しかし、ここにだけ気をつけていると、別の悪質行為の餌食になってしまうかもしれない。お年寄りの財産を狙う輩は、何もわかりやすい犯罪者とは限らない。
■信託銀行の格好のカモに!なぜ高齢者の資産がバレるのか『親が認知症になる前に読む お金の本』 (速水陶冶著、三栄書房刊)は、老人の資産を狙う輩とその手口について、実例を交えて解説していく。本書を読むと、お年寄り、特に認知症の症状が出ている人から財産を奪うのに、わざわざ電話をかけて騙すというという煩雑な手続きなど必要ないのではないかと思える。
実例を挙げてみよう。
佐久間昇さん(仮名)夫婦には子どもがなく、年老いてからは二人で有料老人ホームに入居していたが、入居から数年後に妻が他界。佐久間さんが妻の財産を相続することになった。妻の遺産は約8000万。生前に「遺言信託」を利用して遺言書を残していた。
相続は無事に終わったが、問題はこの後だ。
本書の著者である速水陶冶氏は司法書士。佐久間さんの資産の管理をしてほしいと老人ホームから連絡があり訪ねていくと、驚きの事実が発覚した。
佐久間さんのメインバンクの通帳をチェックしていくと、相続による8000万円の入金の直後に、5000万円が遺言信託を行った信託銀行の投資信託に移行されていたのだ。
ちなみに佐久間さんには妻の死亡時点で認知症を患っており、元本割れのリスクを理解したうえで投資信託の契約をする判断能力はなかった。自分の意志で契約したとは考えにくい状況である。調べていくと、老人ホームの施設長が席を外している間に、行員が佐久間さんに契約書にサインさせ、勝手に契約をとってしまったものと考えられた。
速水氏は、司法書士として活動する中で類似の例を他にも見ているという。