伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「フリッツ・フォン・エリック」呪われた鉄の爪一家 “悲劇”の正体に迫る! (2/3ページ)
公表された死因は急性胃腸炎だが、真相はステロイド剤の多用による内臓疾患だったとする説が、当時から根強くささやかれていた。
同年5月、エリック一家のホームタウン・テキサス州ダラスで行われたデビッドの追悼興行において、弟ケリーはリック・フレアーを下してNWA世界王座を戴冠。父親のフリッツ以来の悲願を達成する。
「もともとはデビッドが新王者に内定していたそうで、ケリーの王座はいわばデビッドへの香典のようなものでした。それもあってケリーは、1カ月弱の短命王者に終わります」(プロレスライター)
そのケリーは’86年、オートバイ事故により右足切断の重傷を負う。’87年に奇跡の復活を果たしたものの、同年にマイクが精神安定剤の過剰摂取により、23歳で服毒死する。
さらに’91年には、末弟のクリスがピストル自殺。デビュー1年目の21歳であったが、身長165センチとレスラーとしては小柄なことを苦にしており、日常的にステロイド剤を使用していたといわれている。
’93年にはケリーが33歳でピストル自殺。ドラッグ使用で有罪が確定したことを苦にしてのことだった。
「彼らの父であるフリッツは、デビッドがNWA王者として世界を回り、地元ダラスはケビンやケリーらが守るというような形を夢見ていたそうですが、それを果たすどころか最悪の結末となりました」(同)
★王国繁栄のため犠牲となった!?
フリッツ自身は’97年、68歳のときに肺がんで亡くなっている。晩年には妻と離婚し、かつて情熱を燃やしたプロレスビジネスからも身を引いていたという。こうして見ると、エリック兄弟の死に共通するのは、呪いではなくドラッグであったことが分かる。
プロレスに限らずスポーツ界全般において、ステロイド系の筋肉増強剤がごく普通に使われていた時代ではあったが、兄弟そろって肉体や精神を害するほどまで、いわば薬漬けになっていたというのはさすがに異様であろう。
実際は社会問題として追及されてしかるべきもので、これを“呪い”や“悲劇”と形容するのは、スキャンダル隠しのための演出とも言えなくはない。