「知」と「情」が和解する 米澤穂信が語る「理想の小説」 (1/2ページ)

新刊JP

『本と鍵の季節』の著者・米澤穂信さん
『本と鍵の季節』の著者・米澤穂信さん

出版界の最重要人物にフォーカスする「ベストセラーズインタビュー」。
第105回の今回は、昨年12月に刊行された最新作『本と鍵の季節』(集英社刊)が絶好調の米澤穂信さんが登場してくれました。

『本と鍵の季節』は、利用者のほとんどない放課後の図書室で当番をつとめる高校2年生の二人、堀川と松倉が、図書室に持ち込まれる謎や身の回りで起きた事件の解明に挑む作品集。団結して推理を進めるわけではなく、かといって別行動でどちらが先に真相にたどり着くかを競うわけでもない。二人の微妙な距離感が高校生っぽくてクセになります。

今回はこの作品の成り立ちや、米澤さんが得意とするミステリ小説について、そしてご自身が影響を受けた本についてたっぷりと語っていただきました。その最終回をお届けします。
(インタビュー・記事/山田洋介)

■理想の小説は「知」と「情」が和解するもの ――米澤さんはかなり早いうちから小説家を志していたとお聞きしました。

米澤:小説家というより、漠然と「お話をつくる人」になりたかったんです。「こういうものを書きたい」というのもなくて、どんなものでも書きたいと思っていました。

――ミステリを書いていこうと思ったのはいつ頃ですか?

米澤:大学一年か二年の時だったと思います。どんなものでも書きたいと思っていたんですけど、それだと結局何も書けないだろうなという気持ちがありました。じゃあどんなものが向いているんだろうと考えた時に、自分の文章は「情」よりも「理」が先行しているので、ミステリが合っているんじゃないかと思ったんです。

それと、当時北村薫さんの『六の宮の姫君』という、芥川龍之介と菊池寛の関係を書いた小説に触れたことも大きかったです。この作品は二人の友情を書きつつも、なおかつミステリにもなっていて、文芸のアプローチとしてすごく豊かでした。「ミステリってこういうこともできるんだ。ミステリだからといって書けないことは何もないんだ」と思えたのもミステリを選んだきっかけだったと思います。

――米澤さんにとっての「理想の小説」を教えていただきたいです。
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