〈企業・経済深層レポート〉 「エーザイ」「協和発酵」リストラに踏み切る製薬会社の裏事情 (2/2ページ)

週刊実話

それが昨年から今年にかけて、多くの製薬会社が希望退職を募る大きな要因の一つになっています」(同)

 それに加え、国の薬価制度の大きな変化が、製薬企業を苦しめているという。
「日本の税収は年間40兆円しかないのに、国の一般会計予算は100兆円で毎年60兆円の赤字。これが積もり積もって、国の借金は、今や1000兆円です。その大借金の大きな原因の一つといわれているのが年間42兆円(2017年度)という莫大な医療費です。その42兆円のうち、7兆7000億円が調剤費なのです」(金融系シンクタンク関係者)

 この薬代金をどう抑えるかが、大きな課題になっているという。
「国は低価格のジェネリック薬品を積極的に使用する医療機関が儲かる仕組みにしたりなど、あの手、この手で薬価を抑えるのに躍起になっています」(同)

 こうした、シワ寄せが製薬会社にジワリと押し寄せているのだという。

 さらに製薬会社のMR(医薬情報担当者)の役割が変遷していることもリストラに拍車をかけている。MRとは、主に製薬会社の営業部門に所属し、医薬品の品質、有効性、安全性などの情報を、医療関係者に提供する職種。患者の治療に最適な処方薬として、医療関係者に自社の医療薬を選んでもらうことを目指すのが大きな役割だ。
「よく病院で医師の診察や業務が終わるのを待っている医薬品関係者を見かけると思いますが、その人がMRです。ただ、最近はスカイプやITを駆使して、薬の効能などを医師や薬剤師に説明する手法が発達しつつあり、従来のMRは必要とされなくなりました。さらにMRより医師の研究や論文の手助けまでできる、より専門知識を持ったMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)が医師に重宝され始めています。そのため、製薬会社ではMRを減らす動きが強まっているのです」(MR・男性)

 新薬が開発できず弱体化している製薬会社が増え、その改善策も見つかっていないため、手っ取り早くリストラをする傾向が強まっているのは確かだ。
「現状のままなら、小野薬品のがん免疫治療薬『オプジーボ』のような画期的新薬は、ますます生まれにくい方向に向かっている気がします」(製薬企業関係者)

 大規模なリストラで現状をしのぐしか、根本的な解決策が見つかっていない製薬業界は、崩壊に向かっているのかもしれない。

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