現実はたった1つの絶対的なものではない?量子レベルでは、人によって別の現実が存在するという結論(英研究) (2/4ページ)
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このとき原子崩壊によってアルファが発生する確率を50パーセントとすると、箱の中の猫は生きている状態と死んでいる状態が半々の確率で、重なり合って存在するということになってしまう。
ウィグナーの友人では、この猫がウィーグナーの友人に置き換えられている。
その友人は、研究室で光子のスピンの向きが縦方向か横方向のどちらであるか測定している。やがて友人は計測を終え、結果を知らせようと自宅にいたウィグナーに電話をかけ、「結果はね……」と切り出した。
この瞬間、計測を終えた友人にとってスピンの向きは確定している。しかし、まだ結果を聞いていないウィグナーには、縦スピンの量子と横スピンの光子が重ね合わさった状態で存在している。
つまり、同じ光子であっても、確定した状態と重ね合わさった状態が同時に存在するという矛盾が生じてしまうのである。
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・思考実験を実際に実験することが可能に
このウィグナーの友人はあくまで思考実験であり、これまでそれが正しいのかどうか実際の実験で確かめることはできなかった。
しかし、最近の機器の進歩によって、これを実際に実験することが可能になったのである。
その方法は、昨年、オーストリア、ウィーン大学の研究チームが考案したもので、実験室を2つに増やし、実験者2人と友人2人が登場する。