現実はたった1つの絶対的なものではない?量子レベルでは、人によって別の現実が存在するという結論(英研究) (3/4ページ)
このウィグナーの友人の拡張版と呼ばれる実験では、実験者1の友人1が光子のスピンを計測し、その結果を記録する。それから実験者1は干渉計測を行い、光子が重ね合わせの状態にあるかどうかを調べる。
さらに実験者2と友人2も別の場所で同じ発生器から生じた光子を同様に計測する。
異なる現実が存在するのであれば、実験者1では縦スピン、実験者2では横スピンという結果が生じうるのである。
今年、英ヘリオット・ワット大学の研究チームがこれを実際に行ってみた。すると確かに2つの現実が存在することが確認されてしまった。
image credit:arxiv
・誰もが同意できる現実は存在しない
この結果は、現実の性質について、我々は考えを改めなければいけないのではという疑問を浮かび上がらせる。
観察者は根本的な現実の計測結果を一致させられるという考えは、いくつかの前提に立脚している。
その最たるものが、普遍的な事実が存在し、観察者は誰もがそれについて同意できるというものだ。
さらに、観察者は自分が観察したいものを自由に観察できるという前提や、観察者が選んだ選択はほかの観察者の選択に影響しないという前提もある――物理学でこれを「局所性」という。
もし誰もが同意できる客観的な現実というものがあるのなら、これらの前提はすべて維持される。
だが今回の結果は、客観的な現実などないということを示している。つまり誰もが同意できる現実などなく、我々には選択の自由などない――局所性は誤りであるということだ。