駅弁ライター望月崇史「中身を見せない弁当は確実に美味しい」麻美ゆまのあなたに会いたい!〔後編〕
前回に続いて“駅弁ライター”こと望月崇史さんとの対談です。駅弁によって地方の特産品が全国的に有名になった話を聞かせてもらいましたが、実は私の出身である群馬県の高崎市も、駅弁がかなり豊富なんです。
ゆま「私の出身でもある群馬県の高崎市には美味しい駅弁がたくさんあるんです。その一つが、おぎのやさんの『峠の釜めし』です」
望月「あ~、美味しいですよね。確か去年で60周年でしたよ」
ゆま「あ、そうなんですか? そんなに歴史があるんだ。あと、もう一つオススメがあって、『だるま弁当』です」
望月「素晴らしいですよね。山の幸が豊富に入っていて……」
ゆま「はい。昔はだるまの顔をした赤い入れ物が、“かわいくないなぁ”と思っていたんですけど、大人になってから食べてみたら、味のバランスがとてもいいんですよね~」
望月「群馬は、この2つの弁当が競い合っていて、もともと、駅弁のレベルが高いんですよね。さらに、私がオススメするのは高崎駅にある『上州の朝がゆ』です。その名の通り、温かい朝がゆが駅弁になっているんですね」
ゆま「私、高崎市出身なのに、それ、知らない……」
望月「なぜかというと、この弁当は朝7~9時限定なんです。しかも7時台で、ほぼ売り切れているので、東京からだと朝6時8分の『301号』に乗らないと間に合わないんです(笑)」
ゆま「早起きしなきゃ。そんなにすぐに売り切れてしまうんですね」
望月「高崎市から東京まで新幹線出勤される会社員の方も多いですからね」
ゆま「そうなんです! 東京と高崎は近いんです。高崎は決して田舎じゃないんです(笑)」
望月「アハハ。『上州の朝がゆ』はそうした会社員の方たちの御用達で、朝ごはん代わりに買われるんです」
ゆま「いいなあ。朝からそんな駅弁が食べられて」
望月「高崎随一の“癒し系”弁当ですね」
ゆま「高崎を褒めてもらえて、うれしいです。他にも、駅弁の美味しい駅は、どこですか?」
望月「そうですね~。やはり駅弁の激戦区の駅は、どれも美味しいです。パッと思い浮かぶのは米沢駅、一ノ関駅、博多駅なんかは駅弁が豊富で、降り立つだけでワクワクしますね」
ゆま「日本全国を旅してみたくなりますね。じゃあ、今まで望月さんが食べて、感動した駅弁を教えてください」
望月「正直、駅弁は地域によって文化があり、味も違うので“美味しい”と感じるのは人それぞれなんです。だから、どれが一番と取り上げるのは難しいんです。ただ、これはスゴイと感動したのは、三重県の松阪駅で販売されていた『極上松阪牛ヒレ牛肉弁当』です」
ゆま「名前を聞くだけで、ヨダレが出ちゃいそう」
望月「松阪牛の中でも最上級のヒレ肉を味わえて、さらに伊勢湾産の車海老の煮付けや、桑名の貝しぐれ、子持ち鮎の甘露煮など、この地域の“ご馳走”がギュッと詰まった贅沢すぎる駅弁なんです。お値段は1万500円です」
ゆま「高いっ(笑)。でも、一度は食べてみたい!」
望月「ただ残念ながら、今は販売していないんです」
ゆま「ええ~」
望月「豪勢な駅弁では、私は食べたことがないんですが、金沢駅の『加賀野立弁当』も有名ですね。これは1991年に誕生したトワイライトエクスプレスという大阪と札幌を結ぶ寝台特急列車があって……」
ゆま「そんな列車があったんですね。新幹線じゃなくて?」
望月「まだ北海道新幹線が通っていない頃、トワイライトエクスプレスは日本海側回りで結んでいたんです。その際、金沢駅にも停車するので、ホームまで届けてくれる駅弁として大人気だったんです。もともと、大友楼さんは料亭なので、その駅弁の中身も料亭並み。値段も1万円の伝説の名物駅弁で、私も一度は食べてみたいです」
■電車で旅行したくなる
ゆま「4500個以上も駅弁を食べている望月さんも、まだ味わっていない駅弁があるんですね」
望月「僕なんて全然ですよ。駅弁は常に新作が出ていますし、10種類出ても、生き残れるのは1種類程度といわれているんです。食べられないまま消えてしまった駅弁も少なくありません」
ゆま「そうなんですね。では、そんな豊富な駅弁の中で“美味しい駅弁”を選ぶときのコツとか、ありますか?」
望月「お弁当の中身を見せていない駅弁は、ほぼ確実に美味しいです」
ゆま「え? 逆だと思っていました」
望月「中身を見せないのは、味に自信がある証拠なんです。実際に美味しくて、駅弁屋さんとの信頼関係もあるから、店頭に並んでいるんです。まあ、最近は中身が分からないと買わないお客さんも増えてきたので、写真などで中身を見せる駅弁も増えてきましたけどね」
ゆま「今度、地方に行った際は、包装紙で中が見えない駅弁を買ってみます!」
望月「ぜひぜひ。ただ、どんな駅弁であれ、一番美味しくいただく方法は景色と一緒に楽しむこと。車窓の風景を楽しみながら、ゆっくりと、お弁当を味わう」
ゆま「いいですね~。電車で旅行したくなります」
望月「駅弁は日本ならではの文化です。最近はコンビニのお弁当を持ち込む人も増えましたが、駅弁を守るためにも、読者の皆さんも旅に出たら駅弁を食べてみてください。食べるだけで、駅弁を守って、応援することになりますので」
ゆま「私も駅弁を食べまくります!」
望月崇史 1975年12月8日、静岡県生まれ。早稲田大学に在学していたときから『ニッポン放送』で放送作家になる。そのかたわら駅弁を食べ続け、食べた数は4500個。サイト『ライター望月の駅弁膝栗毛』(http://www.1242.com/lf/articles/news_special/ekiben/)で、日々食べている駅弁を紹介している。