“脳の性差”あると説くベストセラー『妻のトリセツ』に「拡大解釈が過ぎる」の声 (1/2ページ)
夫婦間のコミュニケーションのすれ違いを“脳の性差”で説明する『妻のトリセツ』(講談社+α新書)が現在ベストセラーになり話題となっている。

編著者は人工知能研究者である黒川伊保子さん、累計部数はなんと約35万部に達したのだという!
著書では「女性脳は、半径3メートル以内を舐めつくすように“感じ”て」「女性脳は、右脳と左脳をつなぐ神経線維の束である脳梁(のうりょう)が男性と比べて約20%太い」など、男性と女性の脳の機能差を示すような具体的なデータを出しつつ、「いきなりキレる」「突然10年前のことを蒸し返す」など夫が理解できない妻の行動の原因を脳の性差と結びつけ「夫はこういう対処をすべし」と指南する内容となっている。
これに対して、脳科学や心理学が専門の四本裕子東京大准教授は、「集団を比較した平均値の差をもって、男性の脳はこう、女性の脳はこうと一般化することはできない。また、脳は個体差が大きく、さらに環境や教育など様々な要因から影響を受けて変わる。ひとつの因果関係だけでは説明できない」と指摘。
また、『なぜ疑似科学を信じるのか』著者の信州大学教授(認知心理学)の菊池聡さんは、「夫婦間の問題に脳科学を応用する発想は、科学的知見の普及という意味では前向きに評価できる。だが、わずかな知見を元に、身近な『あるある』を取り上げて一足飛びに結論づけるのは、拡大解釈が過ぎる。ライトな疑似科学に特有な論法だ」とも指摘。
さらに菊池さんは、「人間は、因果関係を明らかにしたい志向性や、複雑さを避けたい思考のパターンを持つ。疑似科学は分かりやすさを求める人々のニーズに応えるため、支持を集める。血液型性格学や水からの伝言など枚挙にいとまがない」とも続ける。