日本酒の銘柄にもなっている「獺祭(だっさい)」とは、季節を表わす七十二候の一つ

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日本酒の銘柄にもなっている「獺祭(だっさい)」とは、季節を表わす七十二候の一つ

世界的にも有名な日本酒の銘柄「獺祭(だっさい)」。先月からは獺祭初の梅酒が新発売され話題となりましたが、

その名も「獺祭梅酒」!世界的に知られる日本酒「獺祭」からなんと梅酒が登場!

そもそも”獺祭”という言葉にはどのような意味があるのでしょうか?

カワウソたちの春祭り?

獺祭の獺(ダツ)とは、日本では平成二十四2012年に絶滅してしまったと言われる「カワウソ」の音読み。祭はそのまま「まつり」で、つまり「カワウソのまつり」を意味します。

獺祭のイメージ。川端龍子「獺祭」昭和二十四1949年

カワウソは川で獲った魚を川岸に並べる習性があり、その様子が天地の神様にお供え(お祭り)しているように見えることから、春になってカワウソが漁を始める季節を「獺祭」あるいは「獺祭魚(だっさいぎょ。カワウソがうおをまつる、の意)」と呼んで、一年を72の季節に分けた七十二候(しちじゅうにこう)の一つに数えています。

具体的にはいつごろを指す?

具体的には一年(旧暦における360日)を24分割した二十四節気(にじゅうよんせっき)の雨水(うすい。雪が雨に変わる季節。およそ2月20日ごろ~3月7日ごろ)を3分割した最初の5日間(初候・しょこう)を指します。

なので、獺祭とはおよそ2月20日~25日ごろとなります。

ちなみに「獺祭魚」の名称は中国大陸から伝来した宣明暦(せんみょうれき)によるもので、日本独自の神宮暦(じんぐうれき)では「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」と読み、雪が融けて水になることで土脉(土壌。脉は脈の意味)が潤い始める様子を表します。

インテリの別称として

また、カワウソの習性から転じて多くの書物を並べて(あるいは散らかして)学問に勤しむ様子も獺祭と呼ぶようになり、唐の詩人・李商隠(り しょういん。元和七812年生~大中十二858年没)は詩作に多くの古典を引用したため「獺祭魚」と自称したそうです。

正岡子規。Wikipediaより。

日本でも正岡子規(まさおか しき。慶応三1867年生~明治三十五1902年没)が「獺祭書屋主人」などと自称しており、彼の命日である9月19日を「獺祭忌(だっさいき)」と呼んでリスペクトする方もいるようです。

※日本酒の獺祭についても、旭酒造のホームページに正岡子規の言及があります。

終わりに

「あの人は、なかなかの『獺祭』だね」

「うわあ、こりゃまた『獺祭』だねぇ」

イメージ

※試験勉強などで、参考書などが散らかった部屋を見て。こっちの方が使う機会がありそう。

博識自慢もやりすぎると嫌味ですが、ちょっとしたインテリの別称として、ボキャブラリーに加えておいてもよさそうですね。

※参考文献:
川合康三訳『李商隠詩選』岩波文庫、2008年
正岡子規『獺祭書屋俳話・芭蕉雑談』岩波文庫、2016年

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