「現代的シネマティックロックバンド」と名乗る雨ノ弱は、現実(ノンフィクション) と非現実(フィクション)が混じり合うシアトリカルなバンド。1stアルバム発売決定 (3/4ページ)

バリュープレス



『ファンシーポップ』には、集団の中にいながらも孤独を感じる"わたし"の心の慟哭がポップに映しだされている。

  『CInDErella story』へは、現実世界から他界した一人の女性が、終わった世界を俯瞰しながら感じた想いを投影。

  『ハロー・グレア』には、悲嘆に暮れ、瞼の潤んだ視線から観た世界を記しながらも、落ちるのではなく、悲しみを背負ったうえで幸せを探そうとしてゆく心模様を記してきた。

  『籠の鳥』は、大切な人が目の前で自殺したときの記憶と、その衝撃から抜け出せない少女の心の葛藤が映し出されてゆく。

  『c i n e m a』には、恋人どうしの関係性のように綴りながら、繋がりたいけど繋がれない理由を持った故の心のもどかしさを投影している。

  先に説明した楽曲は、6月19日に発売する1stアルバム『シネマコンプレックス』へ収録している曲たち。その7曲の目次となる、すべての曲のモチーフとなる想いを詰め込んだのが『優雨』であり、映画でいうオープニングとエンディングを成す、収録曲たちを巧みにコラージュしたのが『Prologue』と『Epilogue』になる。そんな8編の物語と2本の予告編を詰め込んだアルバム『シネマコンプレックス』が、ついに完成した。

  加えて補足するなら、タイトルへ『シネマコンプレックス』と記したように、このアルバム自体が一つの施設の中で、幾つもの異なる映画が上映されるシネマコンプレックスのような作品であり、いくつものコンプレックス(神経症)な映画(楽曲)を詰め込んだ作品集という意味も持っている。


世の中には音楽を、「気持ちを幸せへ導く誘発材」として導く、いわゆるパリピ的な楽しみ方として求める人がいる。かと思えば音楽を、「心病んでいる気持ちへと寄り添い、同じ痛みを共有する」ことで、痛みや絶望感を肯定してゆく力(仲間)に変えてゆく人もいる。

  雨ノ弱が音楽を通して描き出す映画には、正直コメディやアクション要素は欠けている。
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