大人気コミック『ファイブ』シリーズ作者・ふるかわしおり先生「画業20周年記念独占インタビュー」前編 (2/8ページ)
でも「助けられている女の子が都合良すぎじゃないだろうか」という疑問が生まれて、書き始めていた40ページくらいのネーム【※原稿を描く前に作る下書きで、マンガの設計図のようなもの】を一度寝かせてみたんです。このままこれを出しても良いことはないかもしれない、他の作品を描いてからもう一回見ようと思って。
それで、半年くらい寝かせてもう一度見たときに、「逆に男の子たちが女の子に助けられてもいいな」って思うようになって、そうなったら一気に主要なキャラクターが作れたんです。
「『ろくでなしブルース』にはかなり憧れていましたね」
――初めは逆の設定だったとは驚きました。ちなみに、ジャンプ読者だったというお話がありましたが、どんな作品がお好きだったんですか?
いわゆるジャンプの黄金期をリアルタイムで読んでいて、面白くないマンガがなかったんですよ。『ドラゴンボール』も連載していたし、『スラムダンク』に、『幽遊白書』も読んでいました。
なかでも『ろくでなしブルース』にはかなり憧れていましたね。「週刊連載でこの描き込み、このトーン【※模様柄など用途ごとに様々なパターンが印刷された粘着フィルムで、切り抜いて画に貼りつけて使う】の量はすごい」と思って。
そのあと森田先生とお話させていただく機会があったんですが、活躍されている作家さんは皆さん謙虚で、マンガを描くことが大好きで、それが画面に出てるんだなあ、と思いました。
――では、ふたたび『ファイブ』の話に戻らせて頂きますが、先生の中で個人的に好きなキャラクターはいますか?
『ファイブ』にしても、他の作品にしても、キャラクターは自分の子供だと思っているので、差をつけられないんですよね。みんな良いところもあればダメなところもあるので。
だから読者の皆さんが、「ダメなところがカワイイ」とか、「良いところだけをずっと見ています」などと言ってくださるのは、本当にありがたいことだなと思っています。