カニ界混乱。デタラメな進化を遂げた奇妙なカニの化石が発見される「カリキマエラ・ペルプレクサ」(コロンビア) (3/4ページ)
小さなポケモンのような姿なのはそのためだ。
目の大きさはカリキマエラが肉食動物だったことを示唆している。仮に腐肉食動物であれば、ここまで視力を発達させる必要はなかっただろう。ひょっとすると夜行性だった可能性もある。
また海底を這うための長い足と違って、カリキマエラの平べったい脚は泳ぐためのものだ。長く伸びた体は、普通のカニよりもずっと流体力学特性に優れ、オールのような足でスイスイ泳げたと考えられる。
カリキマエラが、クーマ目の甲殻類を闇に乗じて接近、捕食する姿が想像できるだろうか?
Oksana Vernygora/University of Alberta
・謎に包まれたかつての生物を知る手がかり
デタラメな進化が目を引くカリキマエラであるが、この分野の研究者にとってはそれ以上の重要性を秘めている。
じつはこの分野の化石を調べる研究者はほとんどいない。化石が発見された地域には植物の分厚い層があり、気候が厳しいことから化石がすぐにダメになってしまうからだ。
そのためにこの辺りで大昔にどのような生き物が生息していたのかまるでわかっていないが、否が応でも興味をそそられるカニの化石はこの状況に一石を投じる可能性がある。
「ようやく氷山の先っぽに引っかき傷をつけることができました」とルケ氏は話す。
彼は今、カリキマエラがどのように泳ぎ、何を食べ、そして一番肝心であることに、どのように世界を見ていたのかを突き止めようとしている。
彼にとっては、ようやく巡り会うことができたソウルメートなのだ。