日本テレビによる「視聴率買収」事件【平成テレビ局スキャンダル】

まいじつ

(C)BravissimoS / Shutterstock
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年度平均視聴率5年連続の三冠王――。紛れもなく現在最強の日本テレビだが、過去に〝テレビ史上最低最悪〟の事件を起こしたことを覚えている人は、今となっては少ないだろう。

事件が明るみに出たのは、2003年(平成15年)10月のことだった。当時、テレビ業界では絶対王者としてフジテレビが独走しており、他の民放局はその後塵を拝していた。そんな中、日本テレビのあるプロデューサーが、とんでもない〝暴挙〟に出てしまったのだ。

「視聴率は全国無作為に選ばれた6600世帯のモニター調査によって決定します。1%の視聴率が100万人の視聴者数に該当するといわれていることから、数十件のモニターが特定の番組を見るだけでも、結果的に大きな違いになって表れるのです。プロデューサーはそこに目をつけ、探偵を雇ってモニター世帯を割り出しました。そして、番組制作費を私的に流用した金銭で商品券などを購入して渡し、その対価として、自分の担当する番組を視聴するよう依頼したのです」(全国紙社会部記者)

当時、プロデューサーは「番組がコケたらおしまいだ。オレは土俵際なんだ」と同僚にこぼし、保身のために視聴率を上げようと〝禁じ手〟に走ってしまったのだ。また、買収金を自己負担するには金額があまりにも多過ぎると考え、制作費の不正流用に手を染めたのだった。

民放局の根幹“視聴率至上主義”

「プロデューサーは、当初、工作費用として320万円を自腹で払っていましたが、その後は番組制作費を下請けのプロダクションに水増し請求させ、約1000万円を捻出していました。視聴を依頼した世帯は十数世帯でしたが、実際に応じたのは6世帯。このうち、調査対象は3世帯で、後に事件の調査委員会が発表した報告書では〝視聴率の影響は最大0.5%〟ということでした。数字的には小さく見えますが、数%の数字でスポンサーからの広告料は数億円も上下することがあると言いますから、影響はかなり大きかったでしょうね。視聴率を唯一の基準としている業界の不完全な体質が明らかになった事件でした」(同・記者)

この事件によって、プロデューサーは懲戒解雇処分を受け、日本テレビは番組制作費の出資元である電通とビデオリサーチ社から民事訴訟を起こされることになった。

また、日本テレビ社長が辞任を発表し、当時の麻生太郎総務大臣から厳重注意を受けるほどの大きな社会問題にまで発展したのだった。

令和を迎えてもテレビ業界の〝視聴率至上主義〟は何ら変わることはないが、過去の過ちは二度と繰り返さないでほしいものだ。

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