田中将大の「スプリット」に佐々木の「フォーク」!プロ野球伝説の“魔球”たち

日刊大衆

画像はイメージです
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 プロ野球の醍醐味と言えば、どこまでも飛んでいくような打球、ロケットのような速球、そして、凄まじい変化を見せる“魔球”。今回は名チームの名選手が繰り出した“魔球”を紹介したい。

■「速球並みのスピードで急落!」田中将大のスプリット

 田中将大(現ヤンキース・2007〜)。当時ソフトバンクのファルケンボーグのそれを参考に、独学でスプリットを習得。実戦投入した11年には、前年の119から241へと奪三振を倍増させ、勝利数、勝率、防御率の三冠を獲得。沢村賞も受賞した。その威力は、対戦打者をして「どうしようもない球」。現在も全投球の4分の1近くはスプリットが占めている。

■「唯一無二の地を這う魔球」渡辺俊介のシンカー

 渡辺俊介(ロッテほか2001〜2014)。地上3cmという「世界一低い」リリースポイントからの緩急の付いた巧みな投球で魅了したサブマリン。直球よりスピードの速い高速シンカーは、女房の橋本将をして「あれは魔球」と言わしめた。唯一無二の存在だったこともあり、当時日ハムの新庄剛志は苦手意識のあまり「スタメンを外してと直訴したこともあった」という。

■「球界のご意見番も納得の王道変化球」岸孝之のカーブ

 岸孝之(現楽天・2007〜)。故郷に錦を飾るべくFA移籍を果たした楽天の2枚看板。縦に大きく割れるカーブを武器に、14年には史上78人目のノーヒットノーランを、被四球1の準完全試合で達成した。野球解説者の江本孟紀氏は「本物のカーブの使い手」として名前を挙げるが、結果的に「ひねる」ように投げているだけで、本人の中では「抜くイメージ」だという。

■「ご存知ハマの大魔神の宝刀」佐々木主浩のフォーク

 佐々木主浩(横浜ほか・1990〜2005)。フォークで日米を席巻した大魔神。まったく違う握りで巧みに投げ分ける緩急2種類のフォークで、97年には奪三振率14.85と他を圧倒。その落差は「2階から落ちてくる」とも評された。「フォークの神様」杉下茂をして、「本物」と言わしめたのは、“マサカリ投法”村田兆治と野茂、佐々木の3人だけ。

■「直球かと思ったら急減速!」金子千尋のチェンジアップ

 金子千尋(現オリックス・2005〜)。カーブ、スライダー、カット、スプリットなど“七色の変化球”を持つ技巧派右腕。なかでも、直球と同じ腕の振りから繰りだすチェンジアップは、当の本人も「自信がある」と公言するなど抜群の効力を発揮する。現役100人が変化球ナンバーワン投手を選ぶ、スポーツ番組『すぽると!』内の企画「1/100」でも大差で1位に。

■「他種目をヒントにした割れる縦変化」武田翔太のドロップカーブ

 武田翔太(現ソフトバンク・2012〜)。持ち球にしている3種類のうち、落差のある「ドロップカーブ」が最大の武器。小学校時代にやっていたバレーボールのアタックが原点だという“宝刀”で、15年には一躍、エース格へと覚醒した。ちなみに、佐藤義則コーチ(当時)直伝の「ヨシボール」も習得済。

■「専門家が驚愕する“手首の使い方”」黒田博樹のスライダー

 黒田博樹(広島ほか・1997〜2016)。渡米後にツーシーム主体の投球にスタイルチェンジ。実戦では「現役最高」とも称されたスプリットを武器とした。だが、専門家曰く、真の“魔球”はスライダー。その独特すぎる回転は、姫野氏も「打者側に手の甲を向けるようにリリースしていて、右投手では考えられない」と評するほど。

■「ケガと引き換えに手に入れた魔球」伊藤智仁のスライダー

 伊藤智仁(ヤクルト・1993〜2001)。野村克也をして「天才」「史上最高の投手」と言わしめた全盛期ヤクルトの快速右腕。故障にも泣かされキャリアは短命だったが、ルーキーイヤーに見せた真横に曲がるその高速スライダーはもはや異次元の域。YouTubeなどの動画サイトでも当時の中継映像が400万回近く再生されるなど、いまも語り草となっている。

■「プロ野球界の“現人神”」杉下茂のフォーク

 杉下茂(中日ほか・1949〜1961)。日本初の使い手として一世を風靡した“フォークボールの神様”。当人にとっては対・川上
哲治用に解禁した「神様用のボール」だったこともあり、現役時代は握りを見せることさえ頑なに拒否。他チームの捕手が受けるオールスターでも、いっさい投げることはなかった。なお、コーチとして最初に伝授したのは板東英二だったという。

■「セ界を席巻する自称ツーシーム」山崎康晃のヤスボール

 山崎康晃(現DeNA・2015〜)。本来は打たせてとる球であるツーシームとは似て非なる「自称・ツーシーム」で三振の山を築く“小さな大魔神”。投げ方を伝授した亜大の先輩・東浜巨への敬意からツーシームと呼称するも、当の東浜は「まったく別物」と断言。「ヤスボールでいいんじゃないですか」とコメントした。今季のオールスターで披露したナックルも持ち球のひとつ。

■「阪急の黄金時代を象徴する魔球」足立光宏のシンカー

 足立光宏(阪急・1959〜1980)。肩を故障した影響で落ちた球威を補うために習得したシンカーで、3年のブランクを経て、
再びの全盛期を築き上げた阪急黄金時代のサブマリン。屈指の“シリーズ男”でもあり、歴代3位のシリーズ9勝中8勝を対巨人戦で挙げる“Gキラー”としても名を馳せた。後輩・山田久志の“宝刀”シンカーも、この足立が伝授したものが原点。

 豊富にあふれる映像や、最先端のデータ解析技術で「魔球の正体」がつまびらかにされつつある昨今。しかし、理屈は知識として頭に入れながらも、まだ見ぬ「スゴい球」への期待やロマンも忘れない。そんな野球ファンで僕らはいたい。

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