天才テリー伊藤対談「カンニング竹山」(2)コメンテーターはネットの受け売り
テリー 最近はワイドショーのコメンテーターも務めているでしょう。やってみて、どうですか。
竹山 うーん、最近やっと自由になってきたというか、思っていることを普通に言おうと思えるようになりました。別にこれは本業じゃないし、いつクビになってもいいや、という感じです。でも、ちょっとした欲も湧いてきまして。
テリー 欲? それって何なの。
竹山 なんとかワイドショーを変えられないか、もっと視聴者に「見たい」と思わせる番組にできないのかなっていうことです。
テリー 具体的には、どういうことなの。
竹山 ピエール瀧さんの騒動で言えば、極端な話「他人に迷惑をかけているわけでもないし、コカインなんてちょっとぐらいやってもいいでしょう?」みたいな意見があってもいいはずなんですよ。なのに、みんな1つの流れに沿って、いいことばかりを言おうとしているでしょう。そういうムードを気持ち悪いと感じる時がありますね。
テリー なるほどね。
竹山 あと、生放送は時間でコーナーを区切っているから、せっかく場が盛り上がっていても、次の話題に行こうとするんですよね。次のVTRなんか、よほどでなければ飛ばしちゃって、そのまま進めたほうが、ライブ感があって絶対おもしろいはずなんですよ。
テリー でも、テレビ朝日の「モーニングショー」なんかは、SNSの反応を見て、その話題が盛り上がっていると、「次は飛ばして、今の話題を続けろ」って指示してやっているね。
竹山 ですよね。だから僕は(レギュラー出演している)「ビビット」のスタッフと飲む時、「あんたら、休みの日に裏番組を全部チェックしているのか? 全然ダメだよ、この番組」なんて話したりもしているんですよ。
テリー 今の番組のフォーマットに疑問を持とうよ、ってことだね。
竹山 昔の情報番組は、例えば時計だったり、天気予報だったりと、いろんな要素が必要だったでしょうけど、今は誰もそんなふうに見ていないと思うんです。だって、情報だけならスマホを持っていれば誰だって手に入れられるし、スピードも速いわけですよ。だったら、1つの話題を番組の中でグワッと深く掘り下げたり盛り上げたりして、視聴者をそこに参加できるような形にしたほうがいいんじゃないかと。
テリー うん、すごくよくわかる。
竹山 自分がコメンテーターとして出るようになってから、あらためて「テリーさん、すげえ!」って思ったんですよ。だって、いつもスタジオ内の意見とは反対の意見をぶつけてくるじゃないですか。それによって、場の議論が盛り上がるし、新たな視点も提示できるわけですよね。ワイドショーには絶対にそういう起爆剤を入れないとダメだと思うんですけれど、今それを自分から担おうとする人がいない。少なくとも、僕の中ではテリーさんくらいしか思いつかなくて。
テリー 今のコメンテーターは、番組に出る前に、ネットの記事を読んでいるんだよね。で、ネットの記事に近いことをしゃべってる。
竹山 あぁ、わかります。敵を作らない、視聴者に賛同される意見を言う人が多いんですよ。でも、それって誰でも言えることだし、もっと言えば、わざわざ言わなくていいことなんですよね。