上皇后陛下が育てられていた蚕は奈良時代から宮中で育てられた日本古来種!その名も「小石丸」 (2/3ページ)

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左が小石丸の繭(画像出典:相模原市立博物館研究報告〈国立国会図書館より〉)

そうなると生産性が低くなることから次第に廃れ、昭和の終わりには宮中で廃棄寸前に。

しかし美智子上皇后陛下(当時は皇后陛下)が、「もう少し育ててみたい」と仰られ、廃棄はまぬがれます。そしてその後、正倉院の古代裂の復元に小石丸の生糸が必要だったことがわかったのです。

また、鎌倉時代の絵巻(1309年頃)の修理にも用いられ貴重な文化財を救うことに。美智子様、すばらしいご裁断です!

宮中養蚕の歴史

皇室での養蚕の記録は「日本書紀」。

雄略天皇(5世紀後半)が后妃に養蚕を勧めたのが始まりだとされています。

その後の詳細は不明ですが、近代の記録では一時途絶えていた養蚕を復活させたのは明治4年、昭憲皇太后の時代でした。そのとき助言役として抜擢されたのは近代日本経済の父と呼ばれる渋沢栄一です。

彼が携わった富岡製糸場が世界遺産に登録されたことが記憶に新しいと思いますが、文明開化後、富国強兵で日本の輸出業を支えた産業の一つが生糸でした。

そういった時代の流れもあり、産業振興の意味も込めて「皇后御親蚕」が復活した経緯があるようです。

その後戦争が始まり中断、明治12年に再開。再び中断され、明治41年に再開。大正4年に皇居内の紅葉山御養蚕所が新設されて現在に至ります。小石丸以外の品種の蚕も育てられています。

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