相続税トラブルの中で最も多い「納付期限迄に現金を準備できない」について

心に残る家族葬

相続税トラブルの中で最も多い「納付期限迄に現金を準備できない」について

筆者が相続についての相談を受ける場合、遺産分割協議に関するものと、相続税を如何に減額できるかという内容が殆どであった。しかし、最近知人から相続と相続税に関する質問を受けた際、相続税自体のトラブルについてはどうなのかと聞かれたのだ。相続税のトラブルは幾つか存在する。特に申告を忘れてしまうとか、相続税額が多額になり金員を用意できなくなる等があり、予め対策を施さなければ深刻な状況になり得る。今回は相続税のトラブルについて、簡単に解説してみよう。

■最も多いトラブルは相続税の納付額が用意できないこと

相続税のトラブルで最も多いものは、多額の納税額に見合う金員を用意できず、納付期限に間に合わなくなることだった。理由の殆どは、不動産を売却した後に入金された代金を納税額に充当しようとしたが、中々売れずに納付期限を過ぎてしまったことだった。他には被相続人が生前、生命保険に加入し被相続人の死亡後に一定額の死亡保険金が入金される予定であったが、被相続人が死亡前に勝手に解約してしまい、解約したことを家族である相続人達に知らせずに亡くなってしまったこともあった。いずれにしても、このような状況では納付期限までに金員を用意することは不可能だろう。

■相続税の納付自体を失念するというトラブルも稀にある

また、筆者は未経験であったが相続人達が相続税の申告自体を失念してしまったこともあった。この場合だと、脱税を疑われるが完全な失念であることが税務署に認められれば、税務署長の権限によって相続税の納付額が決定され、改めて納付期限が指定される。指定された期限内に納税していれば、重いペナルティを課せられることはない。但し、延滞税等の比較的軽いペナルティは覚悟しておいた方がいいだろう。

■相続税納付期限までに納付できない場合の対処方法

相続税の納付期限の厳守は当然なのだが、何等かの理由で間に合わなくなる場合がある。前述のとおり金員を用意できなかったことが該当するが、そのような状況を防ぐ制度が設けられている。それは物納と延納だ。

日本国内において、税金は現金一括納付が原則だが、相続税と贈与税についてのみ物納と延納が認められている。物納とは現金の代わりに、不動産や株式を納税額に充当できることを言う。延納とは不動産等を担保として、分割で納付すると同時に納付期限を延長して貰う制度だ。ここで注意して欲しいのは、物納も延納も相続人達納税者が税務署に対して、物納と延納の申請をし、税務署に認められた場合にのみ適用を受けることができる制度だということ。つまり、税務署が認めなければ適用を受けることができないため、現金一括納付となるのだ。また、地震や台風による洪水被害といった自然災害に罹災して申告ができない、若しくは納付期限に間に合わない場合だと期限の延長を認めて貰うことができるので、状況により判断して欲しい。

■最後に…

相続税のトラブルや相続のトラブルを未然に防止するにはどうすれば良いか。それは、税理士や弁護士等の専門家に相談することだ。事前に相談しておけば、トラブルは早期の段階で発見し、解決できる可能性があるばかりではなく、表面化していないトラブルも早期に発見し対策を打てるからだ。個人でできることには限界がある。専門家に頼れば、頼もしい味方になって貰えるだろう。

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