不動産を売却して相続税を納付するのと不動産の物納ではどちらが得か?

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不動産を売却して相続税を納付するのと不動産の物納ではどちらが得か?

不動産を所有している方にとって、相続税は常に頭が痛くなる問題なのではないだろうか。できることならば無関係として放っておければ良いのにと考えるが、決して避けては通れない。考えれば考える程悩ましい。それが相続税の問題だろう。平成の終わりを迎えたある日、そんな悩みを抱える知人から質問を受けたのだが、所有する不動産を処分したいのだが、上手く売却できるか分からない。先日筆者から相続税の物納と延納について聞いたが、不動産を売却した場合とそのまま不動産を税務署に物納した場合、どちらが得なのだろうという内容だった。

■物納とは?

最初に断っておくが、物納(相続税法第41条他、租税特別措置法第69条4項他)は相続人達が税務署に対して現金一括で相続税を納付する代わりに不動産等の物品にて納付することであり、物納の申請をし、当該申請が税務署に認められた場合にのみ規定の適用を受けることができるのであって、却下されれば物納できないことに注意されたい。

■物納のメリットとデメリットは?

では、物納のメリットとデメリットについて見てみる。メリットは、不動産を直接税務署に譲渡するため、時間が掛からないこと。殆ど価値が無いような不動産であっても相続税評価額にて税務署に譲渡できること。そもそも税務署に譲渡しているため、譲渡所得が発生しないので譲渡所得税が非課税となることだ。

続いてデメリットは、税務署が決定する相続税評価額で不動産を譲渡することになるため、不動産の価格が市場価格の70~80%程度に下落してしまうこと。物納の規定上、必ず測量並びに境界確定作業を実施しなくてはならず、必要経費が発生すること。前述のように税務署が却下すれば一切認められない、更に必要経費は相続人達の負担となることだ。

■不動産の売却益で相続税を納付する

売却について見てみる。ここでポイントとなるのは、相続税の取得費加算(所得税法第33条他援用、租税特別措置法第39条他)の適用を受けることができるか否かだ。当該制度は、相続税申告期限の翌日から三年以内に不動産を売却した場合、納付済み相続税額の一部を譲渡所得から控除できる制度だ。

一般に当該制度の適用を受けることができれば、不動産を時価以上の価格で売却できた場合においては物納より売却の方が得になる可能性があるとされている。但し、当該制度の適用を受けなくても、不動産を時価以上で売却できれば、譲渡所得税が発生したとしても物納より得になることも充分有り得る。あくまでも所有している不動産が時価以上で売却できればという前提条件がある。また、短期間で売却できれば良いが、価格が高くても売却に数年掛かってしまうこともある。重要な条件としては、売却価格並びに売却時期だ。

■最後に…

様々な条件が重なるため、慎重に判断しつつ綿密なシミュレーションが必要となるので、ファイナンシャルプランナーや税理士や弁護士等の専門家に相談して決定して欲しい。

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