やくみつるの「シネマ小言主義」 実際の犯人たちが劇中に登場!「アメリカン・アニマルズ」 (1/2ページ)

週刊実話

やくみつるの「シネマ小言主義」 実際の犯人たちが劇中に登場!「アメリカン・アニマルズ」

 2004年のアメリカで、普通の大学生4人組が起こした強盗事件を映画化した本作。「この先の人生、このままでは他の人と何も変わらない」と感じている若者たちが、閉塞感を突き破ろうと思いついたのが、大学図書館に貯蔵された時価12億円の図録を盗み出すことだったという物語です。

『オーシャンズ11』や『スナッチ』、『レザボア・ドッグス』などの映画を参考に、夜な夜な集まっては強盗計画を練るんですが、綿密に準備する割に詰めが甘く、寅さんの映画でタコ社長が嘆息まじりに言っていた「バカだなぁ〜」という感じがピッタリです。

 でも、面白かったですよ。というのも、事件を起こした本人たちやその家族までを劇中に登場させることに成功し、それぞれ顔出しで回想させているんですね。

 現実の4人は、アメリカのどこにでもいそうな中流階級の兄ちゃんたちで、どうも悪人になりきれないようなタイプです。先日、タイで日本人15人の振り込め詐欺集団が逮捕されましたが、リスクを取らず、楽して儲けようとするヘラヘラした輩に見え、この映画の愛すべきバカたちとは質が違うように思いました。

 この監督、ドキュメンタリー映画で数々の受賞歴があるようで、ドラマは初監督らしいです。ドキュメンタリーとドラマが錯綜する手法が新しく、本人たちが語る「なぜ犯罪に手を染めてしまったか」の主張には、妙な説得力がありました。

 彼らが盗み出そうとしたお宝の図録は、「アメリカの鳥類」というタイトルで、原寸大の鳥類の細密画が描かれた畳半畳ほどの巨大な本。いかにも運びにくそうだし、常識で考えると換金化もしにくそう。ついでにダーウィンの「種の起源」の初版本も盗み出そうとするのですが、このタイトルにある「アニマルズ」というのも、進化しきれずにいる「動物並み」の若者たちという意味なのでしょう。

 ところで、自分は図録や図鑑に目がなく、古書店などで見かけると、つい買ってしまいます。

 平成元年から荒俣宏さんが執筆された全5巻の『世界大博物図鑑』も、もちろん購入しました。仕事の資料という言い訳もありますが、要はパラパラ眺めて楽しむためですね。なので、映画に出てきた原寸大の鳥類図鑑には釘づけになってしまいました。

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