埋もれた歴史を掘り起こし次世代へ。文献から再発見された鎌倉の力石エピソード (2/2ページ)
目方を測ってみると、確かにおよそ二十六貫(約97.5kg)。残念ながら十八貫(約67.5kgの小さい方は周囲に見当たらず、おそらく建て替え工事のどさくさに紛れて捨てられてしまったものと考えられます。
「兵頭文次郎さんという人が、十八貫を前から肩にかつぎ、それから背中へとまわして、逆に前へもどして「どうでしょう」とかるく言ったって話がある。いきなり地面からひと息に差し上げるほどの力もちだったとよくきかされた」
※前掲書より。
かつて文次郎さんたちが天高く差し上げたという十八貫の力石が失われたのは残念ですが、それでもめでたく発見された二十六貫の力石は、地元のみんなに見てもらおうと、公会堂の軒先に展示されて今日に至ります。
終わりに目まぐるしく移り変わる時代の中で、慌ただしく失われていく先人たちの面影や、土地の記憶。
そのすべては難しくても、せめて身近な断片くらいは掘り起こし、次世代へ伝えていくのが、今を生きる者の務めではないでしょうか。
今回の力石だって、誰かが興味を持たなければ、きっと何の意味もない邪魔な石くれとして歳月の風雨に朽ち果てていったかも知れません。
こんなエピソードが、皆さんの足元にも無数に埋もれている先人たちの思いや、彼らの培った歴史文化に対する興味関心のキッカケとなれば幸いです。
※参考文献:
鎌倉市教育委員会編『鎌倉市文化財資料 第7集 としより の はなし』平成二1990年9月1日 第5刷
高島愼助『神奈川の力石』岩田書院、平成二十六2014年2月3日 第2版
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