埋もれた歴史を掘り起こし次世代へ。文献から再発見された鎌倉の力石エピソード (1/2ページ)

Japaaan

埋もれた歴史を掘り起こし次世代へ。文献から再発見された鎌倉の力石エピソード

公会堂の軒先に置かれた丸い石。その傍らには「力石」と表示されていますが、これは「ちからいし」と呼ばれ、読んで字のごとく持ち上げるなどして体力錬成や運試し、あるいはレクリエーションの道具として、暮らしの中で親しまれてきたものです。

力石。鎌倉市・小袋谷公会堂の軒先に展示されている。

なにぶん娯楽の少ない昔のこと、農村では頑強な身体が資本でもありましたから、若者たちはこういうものを利用して、楽しみながら身体を鍛えたものでした。

ところでこの力石、実はしばらく行方不明になっていたところ、近ごろ再発見されたのですが、今回はそんなエピソードを紹介したいと思います。

言い伝えの力石は、今どこに?

今から数年前、地元の郷土資料を調べていたら、文中にこんな一節を見つけました。

「力石は、いま公会堂の下にほうりこんである。二十六貫と十八貫のがあった」

※鎌倉市教育委員会編『としより の はなし』小袋谷

公会堂の縁の下と言えば、近ごろ公会堂を建て替えたから、その時に誰かが移動・保管しているかも知れません。知らずに重機で砕かれたり、捨てられたりしていなければいいのですが……。

そこでさっそく町内会長さんに連絡して「文献にある力石を見つけて、町内会で保存して欲しい」旨を話したところ、

「どうだろう。よく覚えていないけれど、そんなに大切なものであれば、もしかしてとっといてあるかも知れないから、今度探してみるよ」

との事。果たして後日「力石が見つかったよ」との連絡がありました。公会堂の裏手を草刈りしていたら、藪の中に転がされていたそうです。

小袋谷公会堂全景。玄関の脇に力石が見える。

文献上の記録とリアルな歴史とのつながりを実感した瞬間でした。

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