3カ月に一度歯医者から届くハガキの裏にある社会の大きな変化とは? (2/4ページ)
財源に不安がなければ良いですが、人口は減少傾向にあり、今後の大きな成長をあてにできる経済情勢にもありません。社会保障費の膨張を抑制するには、なるべく社会保障施策に頼らずに健康で自立的な生活を送れる人を増やしていくことです。口腔の健康は全身の健康にもつながるという認識を、政府が「骨太の方針」の中で表明しています。予防歯科が政策的に推進されていることは、歯科衛生士の需要を高めていることと結びついているといえます。
同時に、私たちの健康意識そのものの高まりも、影響を与えています。口腔に関するサービスニーズは変わりつつあり、むし歯の罹患率は下がり、口臭、審美、歯周病、全身疾患との関係についての課題意識が高まっています。QOL(quality of life)の価値観が予防歯科需要を生み、予防歯科の中心人物である歯科衛生士が求められているという構造です。
それらを踏まえると、「歯科衛生士が足りない」という現象は、社会の中で歯科機能の再定義が行われていて、その動きの中で生じていることなのだと分かってきます。つまり、この社会に暮らすすべての人にとって重要なことなのだと。
――これは患者側においても知っておくべきことなのだと?中山:そうですね。最近、掛かり付けの歯科医院から3カ月に一度、「お変わりありませんか? ぜひ来院して歯とお口の検査にいらしてくださいね」とハガキが届いたりしますよね。30年前には見られなかった取り組みです。それで歯科医院に行くと、赤っぽい色で歯に染め出しをされ、続けて歯石を除去してもらう。予防目的の患者さんを増やしたい歯科医院と、口の中をきれいにしておきたいと考える現代人がいて、はじめて呼応するサイクルです。
口腔ケアの広がりについては、コンビニの中でも見られます。レジの前の棚に置いてあるガムのほとんどが、今やキシリトールガムになりました。また、ガム自体が見直されている理由は、唾液の分泌を促進させたいから。ガムを噛むことで唾液が出ますが、唾液は口腔内の健康を保つ上で極めて重要な役割を担っています。これも、予防歯科的な考え方です。
また、「人間は、自分が食べたものでできている」という考え方の浸透も、影響しているように思います。