医科、歯科、介護がシームレスに… 医療の世界で起こるイノベーションの最前線 (2/5ページ)
参入障壁の高さってこれのことなんだなあ、と。
――歯科衛生士の求人サービスというのは非常にニッチなビジネスですが、ビジネスの勝ち筋は始めるときからあったのでしょうか?中山:どの規模のビジネスを狙って始めたのかによって、答えは変わるような気がします。5年で100億円規模を目指そうというのであれば、そもそも参入してませんよね。その規模はこのニッチな領域では望むべくもない。ただ、私自身は先ほど申し上げた通り、健康に対して関心があって、温泉を自分で始められないかなと思っていたくらいで(笑)。大きいことではなく、自分なんかでもできる、でもユニークなことを通して社会を変えていけたらというのが起業の原点。その意味で、事業は小さくも食べていける程度にはという勝ち筋はあったように思います。
このユニークという点については、今でもこだわり続けています。例えば、私たちの歯科衛生士求人サイトですと、各求人ページに事業所の歯科衛生士の人数がデフォルトで表示されています。事業所全体の人数だけでなくそこで働いている歯科衛生士の人数を表示することで、メディアへのエンゲージメントも応募反響力も高められます。ローカライズとか最適化とかいわれる姿勢や取り組みが、ユニークな何かを生んでいる一例です。
――なぜ、歯科衛生士の人数を表示することで人が集まるのですか?中山:歯科医院の9割の診療所は従業員数が10名以下です。当然人間ですから風邪をひくこともありますよね? でも、その診療所で歯科衛生士が自分しかいなくて、患者の来院予約も入っている。そうなると、風邪を引けない。医療従事者ですから風邪をひいたら出勤できません。そうなると迷惑がかかってしまう。こういうリスクがまず一つあります。
また、新卒で、いきなり先輩の衛生士がいない中で仕事をできるかというと、難しいでしょう。医療の世界でいうと「プリセプター」、いわゆる普通の企業でいうところの「メンター」がいることが求められているわけです。
歯科衛生士のキャリアを考える上でも、歯科衛生士が一つの診療所に複数人いることが重要だということを、私たちが登場するまで業界的に認識されていませんでした。