医科、歯科、介護がシームレスに… 医療の世界で起こるイノベーションの最前線 (4/5ページ)

新刊JP

今まで歯科医師は、歯科業界の中で通じる知識、用語、表現を使えれば生きていけましたが、今後は医科や介護といった別の高い専門性を有するフィールドの住人との間に信用を築く必要があり、そのためには一般常識や社交性、医科・介護知識、メタ的な歯科表現が求められます。歯科業界という村の中しか見ていなかった歯科医師たちが村の門を開けることは、ある意味で自らの蒙を拓き、歯科の価値と課題を再認識し直す機会となっているようにも思います。

――2017年以降、内閣府が発表する「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)には口腔と全身の健康のつながりについて触れられ、歯科保健医療の充実に取り組むことが明記されています。これは歯科業界にとっては大きい出来事だったのでしょうか。

中山:大きいはずです。新時代における歯科の存在価値が公に認められたということですから。日本の方針を示す重要施策の中に「歯科」という文言が入ったということは、むし歯治療のニーズが低下しても、新しい時代に新しい役割でもって歯科がこれまで以上に必要であると。

――今、歯科業界にはどんなことが求められていると思いますか?

中山:歯科業界にもイノベーションが求められています。しかし、一般性の低いローカルルールばかりを大事にしていると、一般社会では導入が進んでいる発想やテクノロジーを取り込めないまま、時代に取り残されてしまいかねません。医科・介護との連携にも支障が出ます。最適化コストは、その導入マーケットの大きさに応じて損得が判断されるわけで、「これだけ面倒なのに、歯科のためにそこまでできない、元が取れない」と思われてしまったら、さまざまな社会資産から見放されてしまいます。

しかし、「家業」から「企業」への流れの中で、今、歯科業界に新しい感性が育ってきていることは間違いありません。その変化は、指数関数的だと実感しています。

周辺企業の立場から見るならば、「歯科版」サービスの開発難度は以前よりも格段に低く、流用も効く。歯科と医科・介護が業界的にシームレスになっていくのであれば、歯科から参入して地域包括ケアシステム全体のマーケットへと展開できる可能性もある。面白いことが起きていくんじゃないでしょうか。

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