医科、歯科、介護がシームレスに… 医療の世界で起こるイノベーションの最前線 (3/5ページ)
――それは「クオキャリア」を運営する中で見えてきたことですね。他に歯科業界の中で見えてきた変化はありますか?
中山:大きいところでは、歯科医院が「家業」から「企業」へと変わってきているというところがあげられます。競争市場化した歯科業界。経営規模の大きな歯科医院の方が一般的には競争力が高く、そのため「家族とお手伝いさん」という旧来の家業文化から「経営者と従業員」という企業社会へと変化が進んでいます。一般企業の経営の中で生じる課題は、歯科でも起きるという時代になりつつあります。
また、これも重要な変化ですが、歯科業界自体が、他の業界との相違をきちんと理解できるようになってきていると感じています。
――他の業界との相違とは?中山:冒頭でお話をした通り、治療から予防へという流れの前提にあるのは、社会の大きな変化です。地域包括ケアシステムの発展には、医科と介護の連携が欠かせませんが、歯科も連携主体の一つです。
高齢者に「歯が痛い」と言われても、看護師や介護士はその歯を処置することはできません。歯科と連携する必要があります。また、摂食嚥下(せっしょくえんげ:食べる・飲み込む)障害は、オーラル・フレイル(高齢とともに多くみられる歯や口の機能の虚弱状態)の中でも大きな問題として注目されていますが、これに単独で対応し得る専門職は存在していません。言語聴覚士と歯科衛生士、そして医師、歯科医師、看護師、管理栄養士、作業療法士らの専門性を結集しなければ対応できないのです。
――歯科が入らざるを得ないわけですね。中山:そうなんです。例えば、肺炎は高齢者の死因の上位にありますが、その中の誤嚥性肺炎発症の主な原因は、歯周病菌だと指摘されています。歯周病を防げていたならば、死に至らなかった可能性もあるというわけです。となると、高齢者介護や医療に、歯科の専門家は欠かせませんよね。
ご存知ない方もいるかもしれませんが、医科と歯科はそれぞれ別個の業界として経済圏を形成してきました。人の交流も少ないです。