齋藤孝インタビュー「上機嫌に生き抜く処方箋」(2)「リア王症候群」チェック (2/2ページ)

Asagei Biz

60年代から70年代にかけて、梶原一騎原作の『巨人の星』や『あしたのジョー』『柔道一直線』『タイガーマスク』などの「熱血スポ根マンガ」が全盛期の時代に青少年期を過ごしています。魔球や必殺技を習得するために、鬼のようなコーチや監督に血ヘドを吐くほどの特訓を受け、友情を育みながらライバルとの戦いに勝利するというのが共通したストーリーでした。

 イジメにも近い特訓や練習は、今では絶対にNGですが、当時はそれが美しいもの、あるべき師弟関係、友情のあり方として語られ、そんな価値観の中で育った世代ですから、会社でも管理職になって後輩の指導をする時に、「根性を出せ」「気合いだ」などとついつい言ってしまうのではないでしょうか。しかし、太平洋戦争時代の連合艦隊司令長官だった山本五十六に、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」という名言がありますが、戦前の海軍にして、褒めてやらないと人は動かないと言っているのですから、根性論で叱咤しても、成果は上がらないし、人も育てられないと肝に銘じましょう。

セクハラ無頓着オヤジ/自惚れオヤジ/酔っ払いオヤジ

 自分自身は、女性や若い人に好かれていると思い込んでいる、実にオメデタイオヤジと言うほかありません。自分だけはチョイワルオヤジ気取りで、オレのボディタッチを喜んでいるんだとか、モテていると自惚(うぬぼれ)ているわけです。しかし、部下などの女性たちは横暴なリア王を恐れているだけなのだと自覚しましょう。

 いまさらですが、セクハラというのは性的な嫌がらせのことで、セクシャルハラスメントの略です。

 会社の採用や昇進などの見返りに性的な関係を強要したり、酔いに任せて異性の体に触ったり、卑猥な言葉を投げつけたりして不快な思いをさせることだということは、すでに多くの人が認識しているはずなのですが、なかなかなくなるということがない。オレだけは違うと自惚れて誤解しているオヤジたちがいかに多いかということでしょうか。

齋藤孝(さいとう・たかし):1960(昭和35)年、静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒。『声に出して読みたい日本語』(草思社・毎日出版文化賞特別賞)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームに火をつけた。著書の累計発行部数は1000万部を超える。

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