ハッブル宇宙望遠鏡がブラックホールの周囲を回転しているミステリアスな薄いディスクを発見 (2/3ページ)

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・相対論的ビーミング効果

ブラックホールの質量は太陽の2億5000万倍もある。そして、その周囲を旋回しているディスクを構成する物質は、光速の10パーセント以上の速さで移動する。

 これほどの速度になると、ガスが地球へ向かって移動しているときには明るく、反対に地球から遠ざかって移動しているときには薄暗くなって見える。

 これを「相対論的ビーミング効果」という。

 またディスクのガスは、重力の落とし穴の奥深くにあるためにそこからの脱出が難しく、そのために赤い波長へ向かって伸びて見える。

 「ブラックホールのすぐそばにあるディスクを見られるなんて面白いですよ。あまりに近いので、引力による速度と強さが、光の光子の見え方に影響するんです」と話すのは、イタリア、ローマ第三大学のステファノ・ビアンキ氏だ。


・現行モデルの誤り

研究チームがNGC 3147を選んだのは、低光度活動銀河に関するモデルの正しさを検証するためだった。

 このモデルの予測によれば、大量のガスがブラックホールの重力に捕まった場合に、物質のディスクが形成され、やがて光を放ちクエーサーができるはずだ。飲み込む物質があまり与えられない場合にもディスクが形成されるとは予測していない。

 「観察されたディスクは、存在するとは予想していなかった規模の小さなクエーサーです。それでも、光度が1000倍から10万倍もあるような天体と同じ種類のディスクなんです。現行モデルによる活動に乏しい銀河に関する予測は、明らかに間違っていますね」とビアンキ氏は説明する。

 研究者はほかにも似たようなコンパクトなディスクがどこかにないかハッブルを使って捜索する予定だという。
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