ハッブル宇宙望遠鏡がブラックホールの周囲を回転しているミステリアスな薄いディスクを発見 (1/3ページ)
2019年はまちがいなく宇宙研究が躍進している。今年4月にはブラックホールの撮影に成功し(関連記事)、天体物理学の新時代の幕開けとなった。
そんな中、漆黒の宇宙を眺めていたハッブル宇宙望遠鏡が、思いがけず物体の薄いディスクを発見したそうだ。
それは地球から1億3000万光年離れた渦巻銀河「NGC 3147」の中央に鎮座する、超大質量ブラックホールの周囲を回転している。
Artist’s Impression of NGC3147 black hole disc
・飢えたブラックホールの周囲に円盤
NGC 3147のような低光度の活動銀河にあるブラックホールは、重量で捕らえて飲み込んでしまえる物質が周囲に少ないことから、飢えていると考えられている。
そのために、それよりもずっと活動的な銀河で見られるような、薄いディスクが存在するのはかなり意外だった。
・相対性理論を可視光で証明
とりわけ興味深いのは、このディスクがアインシュタインの相対性理論を試す滅多にないチャンスであることだ。
ガスのディスクはブラックホールの凄まじい重力場の中にある。相対性理論によるならば、ブラックホールの近くにあるディスクから放たれる光はダイナミックに変化して見えるはずなのだ。
「一般相対性理論と特殊相対性理論の効果を可視光でここまでくっきりと観察できたのは初めてです」と米宇宙望遠鏡科学研究所のマルコ・キアベルジェ氏は話す。