〈企業・経済深層レポート〉 アルゼンチン産牛肉の輸入解禁で火が付いた食肉業界の南米産牛肉ブーム (2/2ページ)

週刊実話

ウルグアイ産牛肉はアルゼンチン産牛肉と同じく、2000年に口蹄疫で輸入停止となり、今年の2月に解禁されたばかりだ。

 「ウルグアイは、国土の8割が牧畜地帯の牛肉国。ウルグアイ産牛肉はアルゼンチン産牛肉と同様で、さっぱりした赤身肉のグラスフェッドビーフです」(同)

 現在、ウルグアイ産牛肉の輸入量は5トン。豪州の9万5000トン、アメリカの8万トンなどと比較すると、それこそ米一俵と米一粒ほどの大差があり、まだまだスーパーではお目にかかる機会は少ない。

 「ウルグアイ産牛肉は基本的に自然の中で育てるので、ホルモン剤とか一切打っていないため、安全性もあります。シニア層や女性は、健康志向で脂身を避ける傾向もあり、今後ウルグアイ産牛肉が伸びる可能性は大いにある」(農水省関係者)

 ただ、国内では南米産牛肉の輸入解禁が、「アメリカ産、豪州産、和牛販売にも影響がでるのでは」といった懸念の声も出ている。

 また、今後の日米貿易交渉が本格化する中で、トランプ大統領は日本に米農産物輸入拡大を強いる可能性が高く、アメリカ産牛肉の輸入は、急増が予測される。

 「それでもヘルシーで美味しいアルゼンチン産、ウルグアイ産の牛肉が日本の消費者に支持されれば、南米産牛肉はスーパーで一番広い売り場面積を占める可能性は高いです。海外では、今や多くの著名人が立ち寄るステーキ店で、アルゼンチン産牛肉を扱う店が増えています」(同)

 大阪でのG20サミットで来日したアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領が、大阪・八尾市のイトーヨーカドーを訪れ、トップセールスで牛肉やアルゼンチン産農産物のPRをしたことでも弾みをつけた。

 また、南米産の牛肉とともに、パタゴニア地方で約1500万頭飼養されている羊にも熱視線が送られている。

 「今回の日本の輸入解禁には羊も含まれていて、輸出が解禁されたパタゴニア地方の羊は、化学物質とは無縁の自然放牧の優れた環境で飼育されたオーガニック羊。日本では、特に環境問題には敏感な消費者が多いだけにパタゴニア地方の羊肉は、アルゼンチン牛肉同様、日本の主婦層には大いに支持されるでしょう。最終的には価格がどの辺で落ち着くかです」(商社関係者)

 南米産牛肉ブームだけでなく、パタゴニア地方の羊肉ブームも来るか?

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