水木しげるの前にキタローを書いた男!ゲゲゲの鬼太郎の原型「ハカバキタロー」【4】 (4/6ページ)
キタロー以後もコンビを組んだ伊藤と辰巳ですが、プライベートまで一緒ではなかったようです。年齢差があったからと思われます。辰巳の正確な生年はわからないのですが、昭和8年頃には30~40代だったと考えられます。20代から見れば相当な大人です。
辰巳も、伊藤のように喫茶店に仲間と集まることはなかったようです。血気盛んな若者たちを一歩引いたところから見ていたのでしょう。
また辰巳は、紙芝居の世界では山川惣治に並ぶ大物だったといいますから、若者にとっても近寄りがたかったかもしれません。
娘・辰巳まさ江は挿し絵画家に辰巳恵洋の娘・まさ江もまた、絵の道に進んでいました。
昭和20年代、挿し絵画家として活躍したのです。少女向け雑誌のイラストや児童書の挿し絵等を描き、人気を集めました。
まさ江の絵は可愛らしく怪奇の要素はありません。だけど、描かれた女性の艶やかさに辰巳の絵の名残も見えます。ここから辰巳版キタローを想像するのも、不可能ではなさそうです。
辰巳画の傑作紙芝居「猫三味線」が復活していた紙芝居『ハカバキタロー』を見ることはできません。しかし辰巳の絵の魅力を味わうことはできます。というのも、辰巳が絵を担当した紙芝居『猫三味線』が、形を変えて平成に復活していたのです。新たな演出を加えた舞台上演版で、平成18(2006)年にDVD化されています。
DVDに納められているのは、紙芝居師・梅田佳声さんの口演によるものです。データによれば、上演時間3時間におよぶ計600枚・全56巻通し上演とのことですから、かなり見応えありそうです。
もちろん辰巳恵洋の絵もたっぷり見られます。猫に取り憑かれた少女、すなわち猫娘は不気味さと妖艶さを併せ持っています。でも、どこか猫の可愛らしさがにじみ出ています。