「第80回夏の甲子園」ノーヒットノーランを達成した2人の名投手 (1/2ページ)

アサ芸プラス

「第80回夏の甲子園」ノーヒットノーランを達成した2人の名投手

 投手にとっての輝かしい記録、ノーヒットノーラン。過去、甲子園の大舞台でこの快記録をやってのけた投手たちは、さすがにその後、プロ野球の世界で大成している例が少なくない。いわゆる“松坂世代”であるこの投手もその1人。1998年の第80回夏の選手権記念大会に鹿児島実のエースとして出場した杉内俊哉(元・読売など)である。

「まずは四球を出さないようにしたい。できれば三振もいっぱい取りたい。強気の投球をしたいです」

 これは初戦の八戸工大一(青森)との試合前に杉内が記者の取材に対し、語った言葉である。そして試合開始。“とにかく先頭打者に気をつけること”“無駄な四球を出さないこと”という二つの心得を胸に、杉内は快投を展開していく。2回裏1死まで4者連続三振。3回は2三振、そして4回裏から5回1死まで、またも4者連続三振。好調な時はカーブで三振が取れるのが、この時の杉内の特徴だった。しかも八戸工大一打線はこのカーブにまったくタイミングが合っていない。だから、ボール球もドンドン振ってくる。前半5回を終了して築いた三振の山は二ケタの11。1球も外野には飛んでいなかった。まさに完全試合ペースの投球内容である。

 この杉内の好投に打線も応える。3回表、先頭の7番・中尾知博と9番・杉内がともに左前打し、1死一、三塁のチャンスを作ると、1番・仮屋園慎哉が左前適時打を放ち、1点を先制。続く4回表には2死から6番を打つ杉内の女房役・森山泰がレフトへソロ本塁打。5回表にも1死から杉内みずからの二塁打をきっかけに四球、エラー、野選などが絡んで2得点。杉内の調子から考えて、この4点があれば十分だった。

 6回2死まで完全投球を続ける杉内。次の18人目の打者として打席に立ったのが、5回から二番手としてマウンドに上がっていた松原好展だった。カウントは3ボール2ストライク。フルカウントの状況から真っすぐで思い切り三振を狙いにいった。だが、それが高めに抜けてしまった。四球である。完全試合”がなくなり、大きくざわめく甲子園球場のスタンド。杉内は、のちにこの試合を振り返って「6回くらいから、相当力が入っていた」と語っているだけに、四球を与えて逆に良かったのかもしれない。よけいな力が抜けたと思われるからだ。後ろで守るナインの緊張も相当だったに違いない。

「「第80回夏の甲子園」ノーヒットノーランを達成した2人の名投手」のページです。デイリーニュースオンラインは、横浜高校杉内俊哉高校野球松坂大輔甲子園エンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧