AIは全人類が帰依する新たな宗教か。作家・片山恭一が考える「AIがもたらす人類の未来」(前編) (3/4ページ)

新刊JP

国家というフィクションが末期状態にあり、国家に支えられてきた通貨も信用を失いつつある。そこに出てきたのがビットコインだと思います。ビットコインの大半を所有しているのは中国人だと言われていますよね。これは(中国の通貨である)元の信用が落ちている、さらにいえば中国政府の信用が落ちているということです。しかし、円もドルも安泰ではありません。だからこそブロックチェーンの技術を使った仮想通貨にニーズが生まれた。

ただ、そのニーズがあったのは僕ら庶民ではなく、資産家だったのだと思います。彼らは通貨よりも信頼性の高い仮想通貨のようなものを、自分の資産として安全に保有したいと考えた。ビットコインはデザイン上の問題もあって行き詰っているようにも見えますが、それに代わる仮想通貨のようなものはいっぱい出てくると思います。Amazonで発行されるトークンですとか、Googleが発行するトークン、ボランティア団体が発行するトークン……。

――企業や団体、自治体がそれぞれ独自の経済圏を築くことができるようになる。

片山:はい。となると経済の形が全く変わる可能性があるんですね。例えばある地方自治体がトークンを支給し、そこで収穫できた農産物を買うことができる。それは地産地消の新たな形であり、これまでとは違った形の地域経済が生まれる可能性があります。こうなると、今僕らが使っている「円」は特別な人が使う通貨になって、生活する手段としては別のものが使われるようになることも考えられますよね。つまり、僕たちは新しい世界、新しいフィクションの中に生きることになる。

ユヴァル氏は、僕たちが揺るぎないと考えていたものが、期間限定のフィクションに過ぎないということを鮮やかに見せてくれたと思います。国家や貨幣、民主主義もそう。そして僕たちが「死」と言っているものも、フィクションなのだと思います。

実際に「死」と言われるものは定義がどんどん更新されていますよね。今考えられている臨床医学的な「死」は、ごく数十年、100年くらいの新しいものです。そして、50年後、100年後には別の意味に変わっている可能性もある。

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