退職金の原資として有効利用される生命保険の解約返戻金の収益計上時期とは (1/2ページ)

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退職金の原資として有効利用される生命保険の解約返戻金の収益計上時期とは

役員が退任した場合の退職金の原資のために、生命保険を活用している会社は多くあります。各事業年度において、保険料の一定額が会社の経費になる生命保険を積み立てておき、いざ退任する場合に保険契約を解約して解約返戻金を貰って退職金の原資とすることになる訳ですが、ここで問題になるのは、解約返戻金を収益に計上するタイミングです。
解約返戻金も原則として会社の収益になる訳ですが、仮にこれが収益になるタイミングと、退職金が経費になるタイミングがずれれば、解約返戻金にのみ課税され、多額の法人税を支払うという事態になります。このため、そのタイミングをきちんと把握しておく必要があります。

■原則は通知日

解約返戻金ではなく、役員や従業員の死亡に対する備えとして会社が積み立てている死亡保険金については、その収益計上のタイミングは、保険会社に保険の請求をして、保険会社が役員や従業員の死亡について審査をし、その後死亡保険金を給付することを決定した通知を会社に送付したタイミングで、収益計上することが国税の内規に明確に示されています。この理由として、請求した段階では保険会社の審査が終了していないことから、確実に返ってくるかは不明であるため、保険会社の決定を待ってから収益計上するのが妥当であると解説されています。

解約返戻金は、死亡保険金とは異なり解約の申し入れをすることで支払われるものですから、その申込みをするだけで返ってくると考えられるため、その申込みが保険会社に到達した段階で収益計上するのが理論的には妥当、と解説されます。ただし、実務的にはその到達日と解約返戻金の支払通知日に大差はないため、死亡保険金と同様に、支払通知日に収益計上するのが一般的かと考えられています。

■権利確定基準からの解釈

ところで、上記のような取扱いになるのは、法人税の収益計上のタイミングについて、原則として権利確定のタイミングで見るとする、権利確定基準が採用されているからです。この基準を前提にするのであれば、解約返戻金を貰える権利がいつ確定するかが問題になりますので、上記のような取扱いとなる訳です。

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