音楽に隠した抵抗精神…日本の心「演歌」、実は明治時代の自由民権運動の演説歌がルーツだった!? (3/4ページ)
♪四千余万(よんせんよまん)の同胞(そなた)のためにゃ 赤い囚衣(しきせ)も苦にゃならぬ……
国利民福(こくりみんぷく)増進して民力(みんりょく)休養せ もしも成らなきゃ……ダイナマイト、どん!……♪
随分と過激な歌詞ですが、これは当時およそ四千万人の日本国民みんなを、自分の大切な「そなた」と見立てた上で、日本の未来を救うためなら、命懸けで腐った権力者を倒し、入獄や死刑だって覚悟する……そんな心意気が歌われています。
普通選挙制度など、民主主義国家としてのシステムが確立した現代では決して許されないテロですが、かつて幕末の志士たちが日本の未来を信じて命懸けで闘ったように、民権運動の闘士たちにもまた、守り抜きたい日本の理想があったのです。
ちなみに、国利民福とは庶民に対する福祉の充実によって国力増強に利することを唱えたスローガンで、まずは民間の力を養い、民権を強化して国権を支える堅固な土壌とするよう訴えたのでした。
エピローグやがて自由民権運動は衰頽し、いつしか演歌も政治闘争の武器から庶民の娯楽に変わっていったのですが、今日でもたまに社会問題などをテーマに熱唱しているミュージシャン?らしき方を見ると、演歌のルーツである反骨精神がいまだ息づいているように感じます。