アラムコ攻撃で暗雲? サウジ経済改革が抱える根本的問題 (1/2ページ)

新刊JP

アラムコ攻撃で暗雲? サウジ経済改革が抱える根本的問題
アラムコ攻撃で暗雲? サウジ経済改革が抱える根本的問題

サウジアラビアのアブカイク原油処理施設がドローン攻撃を受け、生産能力に大きなダメージを負った事件は、被害の度合いと犯行主体の断定を巡って紛糾し、まだまだ収束の気配が見えない。

イランと敵対し、サウジアラビアとほとんど盲目的といってもいい友好関係を結ぶアメリカは、イランによる犯行と疑っている。しかし、イランがそれを認めるはずもなく、一方でイエメンの武装勢力「フーシー」が犯行声明を出している。そして攻撃を受けたサウジアラビア側も被害状況を一切明らかにしていないため、全容解明はまだ時間がかかり、そして解明されるかどうかもわからない。

■石油施設攻撃で突かれたサウジアラビアの「急所」

今回の攻撃は、サウジアラビアにとってまさに「急所」を突かれた形になった。それは唯一無二の産業である「石油ビジネス」の要所を攻撃された、というだけではない。

今回攻撃を受けたアブカイク原油処理施設を所有するのはサウジの国有石油会社「サウジアラムコ」である。サウジアラムコといえば、国際市場への上場が(延期されてはいるが)噂され、投資家の注目を集めている中東の注目企業だ。

この上場によって得られる資金によって、サウジは「ビジョン2030」と名付けられた自国の経済改革を実現させようとしていた。今回の攻撃によって明らかになったサウジアラムコの石油関連施設の脆弱性を投資家がリスク要因と評価すれば、サウジのこの計画が狂ってしまう可能性があるのだ。

ただ、この経済改革は上場が首尾よく進み、サウジが目指すだけの資金がえられたとしても、いくつかの疑問符がつくものだ。

元々、サウジアラビアは王族が権力を独占し、資源は一度国がすべて吸い上げた上で、国民に分配するというある種の「福祉国家」である。国民は政治に口を出さない代わりに、無料の医療、教育、住宅、電気、ガス、石油などを享受できる。もちろん税金もない。

ただ、この国の収入はほとんどが石油関連ビジネスによるものだ。原油の価格が低い状態が続くと財政が苦しくなる。だからこそ、サウジアラビアは経済改革を行い、石油依存体質から脱却しようとしている。これは国の経済構造を根本から変える大手術であり、当然国民にも変化が求められる。

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