池松壮亮&蒼井優で贈る「日本一嫌われた男のラブストーリー」 (3/4ページ)
でも今回は、僕が「どうしても(ビンタを)ください」ってお願いしたんです。そしたら、一発目で鼻血が出るっていう……。
蒼井:必死にビンタしたからね。カットがかかって、池松君を見たら血がポタ、ポタ……、と落ちていました。それはもう結構な鼻血で(笑)。「池松君、ほんっとにごめん、申し訳ない!」って思ったけど、それと同時に「池松君でよかった」と思いましたね。ほかの俳優さんだったらどうなっていたことか。
池松:いやいや、全然大丈夫ですよ。
■「女のひとに向けた映画」の真意
――原作者の新井英樹さんは、「女のひとに向けた映画です」とコメントを寄せられていますよね。でも、女性である私がスクリーンを通して観た“宮本の信じる正論”は、どこか男性寄りのヒーロー軸であったし、女性をターゲットにする映画としては暑苦しすぎる魅力で溢れていました。お2人は、新井さんのコメントの意図をどう解釈しますか?
池松:新井さんはすごく優しい人なんです。自分のまわりにある「声なき声」にとことん耳を傾ける。劇中、靖子は心から傷つく事件に巻き込まれるのですが、彼が言いたかったのは、現実にも靖子のように叫んでいる女性がいるということ。声を上げたい女性たちはたくさんいるはずですし、作品を通じて、それをピックアップしようとしたんだと思います。
蒼井:そうね。私は、女性として「靖子自身が選択していっていること」に共感したかな。
――なるほど。私自身、『宮本から君へ』を見終えた瞬間、スカッとするものがありました。靖子には常に選択権があって、嫌なものは嫌だし、宮本に直してほしいことはとことん直してほしい。これまでの女性像とは違って「あ、そういうの言っていいんだな」って。
蒼井:靖子ってものすごい優しいけど、一方でめちゃくちゃワガママだし、軽いところは軽い。それでいて、重すぎるところは重いっていう、感情の出し方やタイミングを全部自分で決めている女性なんです。
今、さまざまな人の価値観を知りすぎてしまう世の中で、ここまで身勝手に自分のモノサシを作っているのは逆に生きづらいんじゃないかって思うほど。