平安最強!謎の黒づくめ集団を率いた平致経の要人警護が京都で話題に【上編】 (2/3ページ)
更には道中の用心に、と警護もつけてくれました。
「おぉ、忝(かたじけな)し忝し……」
……が。いざ出立に及んで門前に待っていたのは、弓矢一式(弓と箙・えびら)を持った兵(つわもの)と、下人の二人だけ。
どちらも見るからに風采が上がらず、これから京都~大津という遠路にもかかわらず馬もなく、足拵えは乗馬用でもない粗末な藁沓(わらぐつ)。
「……あの、この者たちは……?」
見送りに出て来てくれた頼通に、明尊は疑惑の眼差しで訊ねます。しかし頼通は心配ご無用とばかりのドヤ顔で答えました。
そんな警護で大丈夫か?「これなるは大矢左衛門尉(おおや さゑもんのじょう)こと平致経(たいらの むねつね)。弓馬(ゆんば)にかけては当家一番の達者にございますれば、万事ご安心召されよ」
大矢左衛門尉こと平致経(イメージ)。あまり強そうには見えないが……?
大矢とは文字通り大きな=ロングサイズの矢を軽々と射こなす武勇からつけられた二つ名で、自他ともに認められる腕前を証明しています。
「……さ、左様か。しからば大矢殿、よろしくお頼み申しますぞ」
頼通の太鼓判にも半信半疑、明尊がぎこちなく会釈をすると、致経はわずかに首だけ傾けて武骨に応じました。
しかしその視線は明尊を見据えたまま、実に薄気味悪く、むしろ恐ろしさすら感じます。一方の下人はデンと胸を張ったまま直立不動。