医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<動悸>「めまい・冷や汗・吐き気、意識を失う症状も…」

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医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<動悸>「めまい・冷や汗・吐き気、意識を失う症状も…」

 会社員のBさんは、このところ動悸を感じ不安を覚えていた。心配になって近くの医療機関を受診。すると、問診で「どんな時に動悸がするのか」「脈拍は速いか遅いか」「脈は規則的か不規則か」と聞かれたという。

 動悸には大きく分けて、

【1】鼓動が速くドキドキする

【2】ドクンドクンと鼓動が大きく激しくなる

【3】胸が詰まるように「脈がとぶ」

 の3種類がある。この中で、【2】は緊張による精神的作用であることが多く、あまり心配はない。【3】は「期外収縮」と言って、不整脈の一種と診断されるケースが多い。頻繁に起こる場合には治療が必要なこともあるが、基本的にほぼ心配はないと言える。最も注意が必要なのは【1】の心臓の鼓動が速くドキドキする症状の場合だ。

 心臓は1日に約10万回、一定のリズムで拍動を繰り返し、全身に血液を送り出している。健康な成人の場合、安静時の脈は1分間に60~100回程度だ。気をつけるべきは1分間に100回以上の脈拍がある場合。「頻脈」と呼ばれ、1分間で140回くらいになると危険な状態と言っていい。脈拍が速すぎると、心臓は血液を効率的に送り出すことができなくなってしまうためだ。

 頻脈になるとドキドキという動悸が起こるが、すぐに治まれば問題ない。しかし、動悸に合わせて、めまいや冷や汗、吐き気などを伴う場合は注意が必要だ。ひどい時には意識を失う症状も起こりうる。心臓の心室が小刻みに震えて全身に血液を送ることができない「心室細動」や「心房細動(不整脈の一種)」は命に関わる。

 ちなみに頻脈とは反対の1分間に40回以下になる「徐脈」にも気をつけたい。脈が遅くなると体を動かすのがつらくなり、激しい息切れやめまいを起こす。症状が治まらない場合は心不全の可能性もある。頻脈も徐脈も早めの受診をお勧めする。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

「医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<動悸>「めまい・冷や汗・吐き気、意識を失う症状も…」」のページです。デイリーニュースオンラインは、徐脈週刊アサヒ芸能 2019年 10/17号田幸和歌子診察室のツボ動悸社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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