女性が男性医師から直接診察が受けられない時代に使用された医療人形とその使い方(中国) (1/4ページ)
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20世紀始めまでの数百年間、中国の女性が男性医師から直接診察を受けるのは難しいことだった。
他の地域の文化の例にもれず、当時の中国人は女性の純潔を非常に重要視していて、女性は夫以外の男性に自分の肌を見せることはできなかったのだ。
医師のほとんどは男性だったため、診察のために女性患者の服を脱がせたり、その体に触れたりすることはできなかった。つまり、体を見ての病気の診断や治療ができなかったということだ。そこで解決法が編み出された。
女性をかたどった小さな象牙の人形を使用するのだ。
・人形を使って体の悪い場所を指し示す
医師たちの多くは、裸で横たわる女性をかたどった小さな象牙の人形を、自分のデスクに置くようになった。
治療を受けようという患者の女性は、医師との間を隔てる竹のスクリーンかカーテンの後ろに座るか立つかする。その仕切りにあけられた小さな窓から手を伸ばし、医師が脈をとる。それから女性は、自分の具合の悪い個所を人形の体を使って指し示す。
ほとんど言葉を交わすことなく、それだけで医師は診断を下し、ふさわしい治療薬を処方する。そういう治療の仕方だったのだ。