インドネシアで発見された小型の人類「ホビット」は急速な進化を遂げていた
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2003年、インドネシアのフローレス島の洞窟で小型の人骨が発見された。頭蓋骨はグレープフルーツサイズ、成人しても身長は1mあまりと、その小ささから、トールキン作品の中に出てくる小人「ホビット」という愛称が付けられた。
のちに絶滅したヒト属のものと判明し、「ホモ・フローレシエンシス(フローレス原人)」と名づけられた。7体の人骨とともに象(ステゴドン)の骨、石器などが一緒に発見されたことから、狩猟生活を行っていたと見られる。
それ以来、研究者たちは、我々の小さないとこについて、どんなものを食べていたのか、祖先は誰かまであらゆることを調べている。
・最新の技術で明らかになりつつあるホビットたちの生態
彼らは約19万年~5万年前、インドネシア・フローレス島のリアンブア洞窟に暮らしていた。
最新の研究では、ホビットたち(ホモ・フローレシエンシス)がいつ、どのようにして進化したのかを特定するため、数千回もコンピューターでシミュレーションを重ねた結果、彼らが非常に急速に進化したことがわかってきた。
Indonesia fossils shed further light on human evolution
・フローレス島の生き物の特性
フローレス島の多くの生き物は、とてつもなく大きく成長したり、逆に極端に小さくなったりしている。これは「フォスターの法則、つまりは島という独特な環境の影響=島嶼化)の例だ。
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ホモ・フローレシエンシスの遺骨が発見された島の洞窟image credit:Rosino / wikimedia commons
多くの島の特徴である、資源や天敵が少ないという条件が合わさると、時間がたつにつれて、小さな動植物相の大きくなる傾向がある。その一方で、本土の大きな種は体が縮む傾向がある。
これは、かつてニュージーランドにビッグバードよりも遥かに大きな鳥が生息していたことや、地中海の島々をミニクーパーサイズのゾウが歩いていた理由の説明となる。
このフローレス島には、そのもっとも顕著なふたつの例がある。巨大なコモドオオトカゲと小さなホモ・フローレシエンシスだ。
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ホモ・フローレシエンシスの頭蓋骨のレプリカimage credit:Ryan Somma / wikimedia commons
・急速に進化したホモ・フローレシエンシス
「島というのは特殊なのです」と語る、フェデリコ2世・ナポリ大学の古生物学者パスクアーレ・ライア。「形態学的、文化的に言うと、ほかのヒト科生物の進化はこれとはまったく違います」
ライアの研究チームは、島嶼化に関係するいくつかの進化の力を考慮に入れて、コンピューターシミュレーションに組み込み、ホモ・エレクトスがどれくらいの速さで小型化したかを調べた。
その結果、1万年未満のわずか数百世代で小型化が起こった可能性があるという結論が出て、ライアは驚いた。これはよく進化と関連づけられる氷河の変動ペースに匹敵する速さだ。
進化論的に奇妙な島が存在する可能性を考えると、この結果には注意を払う必要があるとライアは言う。
「島の生態系は脆いものです。それに加え、島というものは"生物進化における適応"がやるはずだと、わたしたちが思い込んでいることの限界を突破することがよくあるのです」常になんらかの進化を急速に繰り返しているガラパゴス諸島のフィンチ(フウキンチョウ科)の例もあるのだ。
NOVA scienceNOW : 6 - Little people of flores
References:royalsocietypublishing / written by konohazuku / edited by parumo