不動産広告でよく見かけるようになった「共有持分の売却」が引き起こすトラブル (1/2ページ)
数年前から報道されていたが、日本国内において所有者が不明な土地の総面積が九州に匹敵するほどだという。何故こんなことになっているのかと言えば、相続した土地について相続後に所有権移転登記をしていないからなのだ。他に原因があるのかもしれないが、理由の殆どが未登記だからだと考える。2018年に相続税法に直接関係する民法が改正された結果、不動産を相続により承継した場合、未登記だと思わぬトラブルに巻き込まれる可能性がでてきたのだ。
■相続税法改正による影響とは
最初に改正された点についてだが具体的には、法定相続分を超える権利を相続した者は、法定相続分を超える部分について第三者に権利を主張するには、登記や登録などの手続きをしていなければならなくなった。
例を挙げると、遺言書に全ての土地を長男に相続させる旨記入した場合、権利を主張するには登記や登録などの対抗要件が必要になるとなった。つまり、今まで遺言書の効力が強かった結果、一人の相続人に遺産が集中することが多く、他の相続人について何の補填もされないことがあり不公平性が高かったのだ。このような不公平を是正するために、今回の改正で遺言書の法的効力が絶対ではなくなったのである。
■共有持分売却が引き起こすトラブル
トラブルについてだが、最近不動産買取りの広告を様々な媒体で目にする。そのなかで、持ち分の買い取りを強く主張する業者がある。この持ち分がトラブルの種になっているのだ。
例を挙げると、配偶者が1/2と長男、長女がそれぞれ1/4を相続によって都内にある一戸建てを承継した。ある日、長男が勝手に自分の持ち分を名義変更のうえで不動産会社に売却してしまった。まずいことに、配偶者と長女は相続の際に登記をしていなかった。
長男が持ち分を売却した直後に不動産会社の担当が配偶者の元を訪ね、当社が取得した長男様の持ち分を買い取って欲しいと言ってきた。更に恐喝紛いな手で配偶者や長女を脅し、訴訟までちらつかせたうえで、最終的には当該不動産会社が一戸建てを安価で購入してしまったのだ。手口は他にもあるようだが、このような事は相続したと同時に配偶者達が所有権移転登記をしていれば防げたはずなのだ。