人間五十年…は昔の平均寿命じゃない?織田信長が好んだ幸若舞「敦盛」に唄われた真意とは (2/4ページ)
ちなみに、下天の住民は寿命が500歳とされ、彼らの一日が人間世界の50年であれば、彼らの生涯は50年×365日×500歳≒912.5万年という途方もない長さになります(※閏年は省略)。
そんな悠久のスケールで生きる人々を前にすると、人間世界で50年ばかり生きていることなど、うたた寝の夢に過ぎない……だから今川義元の軍勢ごときにくよくよする必要はない。思いっきり戦おうではないか。そんな思いで舞っていたのかも知れません。
つまり、この唄は人間世界の50年間を下天における時間感覚と比較しただけで、人間の寿命が50年である、という訳ではないのです。
下天と化天、たった一字で桁違いちなみに、幸若舞「敦盛」は平安時代末期の源平合戦(一ノ谷の戦い。寿永三1184年2月7日)において、平家の若武者・平敦盛(たいらの あつもり)を討った源氏方の猛将・熊谷直実(くまがいの なおざね)が世を儚んだエピソードが元ネタとなっています。