歴代総理の胆力「吉田茂」(1)吉田の持ち味がウラ目に (2/2ページ)

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しかし、吉田は時の犬養健(いぬかいたける)法相に命じて「指揮権」を発動させることで逮捕を拒否、これは検察に容喙(ようかい・差し出ぐち)をしたものとして、吉田内閣は世論のごうごうたる批判を招くことになったのである。

 さしもの吉田の権勢も、ここまでであった。この年12月左右両派の社会党とともに鳩山率いる民主党も、ここで改めて内閣不信任決議案を提出した。吉田はなお「成立するなら(衆院の)解散で対抗する」と強気だったが、自由党内からも「吉田は終わった。解散するなら、吉田の党除名もやむを得ない」の声も出、ついには佐藤栄作から幹事長を引き継いでいたやはり吉田の側近の池田勇人の「解散ができる情勢にはありません。禍根を残してはなりません」との“涙の進言”もあり、ついに吉田は総辞職を決断、ようやく長期政権に幕を降ろしたのだった。

■吉田茂の略歴

明治11(1878)年9月22日、東京生まれ。貿易商・吉田健三の養子となる。外相を歴任後、昭和21(1946)年5月内閣組織、総理就任時67歳。対日講和条約調印をはさんで、第5次内閣まで。昭和42(1967)年10月20日、心筋梗塞のため死去。享年89。

総理大臣歴:第45代1946年5月22日~1947年5月24日、第48~51代1948年10月15日~1954年12月10日

小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。

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