ブラシじゃないよね?平安貴族の男性がよく顔の横にくっつけてるアレ、いったい何なの? (1/2ページ)
百人一首の絵札(読み札)を見ていて、こんな質問がありました。
「この男の人が顔の横にくっつけてるこのブラシみたいなものは何?」
※確かにブラシみたいなもの(赤丸で囲んだ部分)がついています。
平安時代の男性がつけているこのパーツ、いったい何と言う名前でどういう役割があるのか、今回はそれを紹介したいと思います。
緌(おいかけ)の役割と語源まず、これの名前は「緌(おいかけ)」と言います。
冠の巾子(こじ。束ね上げた髪を収める後部の突起)から両側面に緒(お。あごひも)をかけることで、冠を頭部に固定する役割があります。
言葉の構成は「お(緒)」を「い(動詞につけて意味を強める接頭語)」+「かけ」る≒しっかりと掛けて冠を固定するもの(緒)、という意味になります。
「(冠を)糸に委ねる」という漢字(緌)からして、冠が外れない=恥をかかずにすむ安心感がありますね(かつて男性にとって、冠などが外れて頭髪を晒すことは恥とされました)。
別の漢字で「老懸」とも書きますが、これは年老いて髪の毛が減ると、束ねてもボリュームがなくなるため、冠の固定をあごひもでフォローする必要が生じるためです。
※古来、冠や烏帽子などの被り物は内部のひもを髻(もとどり。