大ヒット作『ツナグ』ふたたび!続編執筆の裏側とは (2/4ページ)
――映画を見た方からの反応ですか?
辻村:それもありますが、監督やプロデューサー、俳優のみなさんが、私が考えていたくらいの情熱、もしかしたらそれ以上の熱量で作品に関わってくださったんです。自分の小説はどれも自分の子どもだという感覚がもともとあったのですが、「一人で育てていた子ども」が「みんなの子ども」になったような感じでしょうか。
映画の打ち上げの時にプロデューサーのお一人が「今後いつか、歩美くん(作中で死者と生者を引き合わせる“ツナグ”という役割を担っている少年)が結婚する時に、自分が“ツナグ”であることを相手にどんな言葉で話すのかということにもつい思いを馳せます」とおっしゃったんです。それを聞いた瞬間、その場面が頭に思い浮かんで、書いてみたいと思いました。その時はじめて続編をはっきり意識した気がします。
――プロデューサーの方の発言は今回の作品の内容とつながってきますね。個人的には最初の場面に驚きました。ツナグとして歩美がやってくるのかと思いきや……。辻村:『ツナグ』から9年経っていて、作中の時間も7年進んでいますから、最初の場面ではまず読者の意表をつきたかったんです。
――ただ、第一章を最後まで読むと、嬉しい再会がある。これまでの読者には嬉しい読みどころなのではないでしょうか。辻村:そう思っていただけたら、著者としては幸せです。今回のどの話にも共通していると思うのですが、「ツナグ」は「死んだ人間と一度だけ会える」という設定を通して「喪失」を描いています。だから痛みや苦しみを抱えた人たちが登場しますが、痛みや苦しみって経験した時の状態がずっと続くわけではないんですよね。もちろん、忘れるわけではないにしても、時間が経つことで傷への寄り添い方は変わってくる。続編ではそのあたりも、前作より意識した描き方になっていると自分でも感じました。だから、一章の最後を皆さんにどう読んでいただけるのかは、私自身、楽しみです。
―― 一生に一度だけ死者との再会を叶える使者「ツナグ」である歩美のところには、死者に会いたいと願う依頼人から電話がかかってきます。動機も会いたい人との関係性も実に様々で興味深かったです。